佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『深川駕籠 お神酒徳利』(山本一力・著/祥伝社文庫)

『深川駕籠 お神酒徳利』(山本一力・著/祥伝社文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

深川の新太郎と尚平は息の合った若い駕篭舁き。ある日、尚平のもとに想い人おゆきをさらったという手紙が届く。堅気の仕業ではないと考えた新太郎は、博徒の親分・恵比須の芳三郎を訪ねた。筆跡から、かどわかしには札付きの渡世人・弥之助が関わっていることがわかるが…。二人はおゆきを無事救出できるのか?好評「深川駕篭」シリーズ、待望の第二弾。

 

お神酒徳利 (深川駕篭) (祥伝社文庫)

お神酒徳利 (深川駕篭) (祥伝社文庫)

 

 

 

 お神酒徳利とは「酒を入れて神前に供える一対の徳利」のこと。作中で尚平と相思相愛の仲にあるおゆきが尚平と新太郎のことを例えていう場面がある。尚平とおゆきはお互いの思いはどんどん強まるが現実面で二人の仲は遅々として進まない。それが読者としてじれったくもあるが、そうであってこそ尚平と新太郎というコンビがおそらくは唯一無二のものであることを物語る。本作で光ったのは芳三郎の肝の太さ。どうやら山本一力氏は肝の太さが男の値打ちを図るもの差しであると考えていらっしゃるのではないか。そのことに異論は無い。