佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

9月の読書メーター

9月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1884
ナイス数:878

 

 先月は6冊しか読めなかった。しかしそれぞれが印象深い本ばかりだった。『上流階級』は続編を希望。私はやはりシーナさんと庄野さんが大好きだ。生き方のお手本としている。一生読み続けます。


遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)感想
ラストシーンでの悦子とニキの会話に港に行った日のことが語られる。「あの時は景子も幸せだったのよ」と。確かに物語の中盤にフェリーで稲佐へ渡ったシーンがあるが、その時は景子は未だ悦子のお腹の中だったはずとどんでん返しに気づく。ということは想い出として語られる佐知子と万里子親子は悦子の作り話で実は自分たちのことなのか。あるいは悦子は狂いかけているのか。なんだか落ち着かない不穏な余韻を残す小説。ブンガク的価値はあるのかもしれないが、私の好みではない。以前に読んだ『日の名残り』は好きなのだが・・・
読了日:09月30日 著者:カズオ イシグロ


山の上の家―庄野潤三の本山の上の家―庄野潤三の本感想
「山の上の家」が舞台となった庄野氏の晩年の作品において、充たされた「いま」の表現は切ない。ほほえましいが切ないのだ。取るに足りない日常がいかにかけがえのないものであることか。人が生きるのであるから辛いこと、悲しいこともあったに違いない。しかし庄野氏はその中に良きものだけを見ようとした。嬉しかった。楽しかった。おいしかった。キレイだった。そこには伴侶の、あるいは子どもたち、孫たち、さらにはご近所さん、友人の幸せを切ないほどに希求した姿がある。今日は2019年のお彼岸。「山の上の家」が一般公開される日である。
読了日:09月23日 著者:庄野 潤三


上流階級 富久丸百貨店外商部 (2) (小学館文庫)上流階級 富久丸百貨店外商部 (2) (小学館文庫)感想
其の一を読んで、その面白さにびっくり。 早速、其の二を購入。一気読み。読んでいて改めて感じたのは一日二四時間一年三五六日という時間だけは貧富の差なく与えられるもの。富める人は時間を外商という道具を使って金で買うのだということ。後半のヤクザとの駆け引き、四季子夫人とのやりとり、どちらも緊迫した場面ながら腹の据わった静緒の対応が小気味よい。どうやら高殿円氏は鉱脈を探り当てたらしい。二巻で終わるのはもったいない。続編希望。
読了日:09月20日 著者:高殿 円


上流階級 富久丸百貨店外商部 (小学館文庫)上流階級 富久丸百貨店外商部 (小学館文庫)感想
上流階級、誰もがなりたいと憧れる階級である。一部のひねくれ者を除いて。今や死語だろうが、プチブルなどといった中途半端なブルジョアではなく、正真正銘のハイソサイエティに属する人々。日本は外国ほど格差が激しくないし、敗戦によってリセットされたこともあってさほど目立たないが、そのような上流階級が確かにいる。むしろあからさまに上流階級であることをひけらかさないところが上流階級たる所以かもしれない。上流階級と話すときに褒められたことを真に受けてはならない。もしや当てこすりではないかと疑わねばならないとは怖いことだ。
読了日:09月10日 著者:高殿 円


波のむこうのかくれ島 (新潮文庫)波のむこうのかくれ島 (新潮文庫)感想
島はイイ。山間部生まれの私には海に対する憧れがある。海は広いな大きいな。月がのぼるし日が沈むのだ。魚もうまいのだ。それが島となれば独立した一箇の主体性を感じるのだ。小さな島の持つ主体性。小さくともキチンと自分を主張しているところがイイ。時間の過ぎ方も島では違う気がする。そんなところがイイ。すごくイイ。印象的なのは写真の「青」。青は私の一等好きな色である。カバー写真の白砂の海岸にある白い物見台に据えられた白い椅子で日光を浴びているシーナさんの写真がすべてを物語っているではないか。
読了日:09月05日 著者:椎名 誠


男のチャーハン道 日経プレミアシリーズ男のチャーハン道 日経プレミアシリーズ感想
パラパラでおいしいチャーハンを作るための実験と検証の繰り返し。その過程を丁寧に綴ったレシピ。チャーハン一品の作り方を237ページで解説した世界一長いチャーハン・レシピである。なにもチャーハンはパラパラでなければいけないわけではない。私はラードを使った濃厚味ベタベタチャーハンも好きである。しかし、ごはんに卵をまとわせながら大振りの中華鍋を煽りぱらぱらになるまで炒めるスピード技はやはりあこがれ。だが、なんと鍋を煽ることに意味はないと意外な結論。そうではあっても私は鍋を煽って作りたい。パフォーマンスも一興です。
読了日:09月03日 著者:土屋 敦

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