佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2019年11月の読書メーター

11月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2894
ナイス数:1011

 

 11月の読書で印象的なのは何と言ってもドン・ウィンズロウの『犬の力』上下巻です。圧巻の麻薬カルテルもの。これを読んだら、続編三部作をなす『ザ・カルテル』『ザ・ボーダー』を読まないわけには行かない。今年の年末はこれらを読むのに精一杯だろうな。なにせ『犬の力』が上巻574P、下巻473P。『ザ・カルテル』の上巻が632P、下巻が591P。『ザ・ボーダー』の上巻が765P、下巻はなんと814Pである。気合いを入れて読まないと年を越してしまいます。


ストラスブール美術館展(図録)ストラスブール美術館展(図録)感想
2019/11/11、姫路市立美術館での展覧会開会式に出席し観覧。クロード・モネの「ひなげしの咲く麦畑」はぼかしたような柔らかい光と色は観る者のこころを癒やしてくれる。はポール・シニャックの「アンティーブ、夕暮れ」は観たかった作品。青色とバラ色、黄色、オレンジの点描による港の風景。一日の終わりの柔らかい光がほんとうに美しい。そして、最も強く惹きつけられたのはマリー・ローランサンの「マリー・ドルモワの肖像」でした。アーモンド型のブルーの瞳に完全に魅せられました。なんと美しい女性であることか・・あぁ・・・
読了日:11月30日 著者: 


ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集 (小学館文庫)ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集 (小学館文庫)感想
伊坂幸太郎氏、辻村深月氏との対談が加わっている。豪華なおまけである。装画がカメントツ氏になり番外編として登美彦氏インタビューが「カメントツの漫画ならず道」として漫画になっている。これにより登美彦氏が腐れ大学生を続け切らなかった理由が明らかになった。それは「逃げ」ではないかというカメントツ氏のスルドイ指摘に対し、登美彦氏は曰う。「読者が不幸になっても幸せになりたい・・・」と。本音を言えば私も腐れ大学生ものを書いて欲しかった。しかしおまけに免じて登美彦氏には「死んでも腐れ大学生ものを書け!」とはいわずにおく。
読了日:11月30日 著者:森見 登美彦


黄金雛 羽州ぼろ鳶組 零 (祥伝社文庫)黄金雛 羽州ぼろ鳶組 零 (祥伝社文庫)感想
火喰鳥こと松永源吾と深雪との出会いの話をいつか詳しく読みたいと思っていた。今巻で読むことができたいへん嬉しい限りである。本作で考えさせられたのは「男の値打ち」 火消しは江戸の華。鯔背な姿は人々の憧れだ。命がけの仕事に配下の者を率いるとなれば見栄を張ることも大事だろう。しかしその男がホンモノかどうかは度量のあるなしだろう。本当に大切なものは何か、ものの道理はどうか、己が力の限界、そうしたことをわきまえて一番良い結果を得るために敢えて見栄を捨てて行動する。松永重内は男だぜ。
読了日:11月29日 著者:今村翔吾


赤めだか赤めだか感想
8年前の今日、談志は逝った。今月の四金会(毎月第四金曜日の読書会)の課題本に私はこの本を推薦した。立川流一門の弟子たちがいかにして談志(イエモト)に育てられたか。いかに談志(イエモト)に心酔していたか。本書を読むとそうしたことがひしひしと感じられる。「修行とは矛盾に堪えることである」「落語とは人間の業の肯定である」「嫉妬とは己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為」談志(イエモト)の言葉がまざまざと蘇り、この時代にあってさらに輝きを増す。
読了日:11月21日 著者:立川 談春


モップの精は旅に出る (実業之日本社文庫)モップの精は旅に出る (実業之日本社文庫)感想
「この本はキリコちゃんシリーズの五作目になり、そして最後の本になる」 近藤史恵さんは本書の「あとがき」の書き出しにこう書かれた。それによると近藤さんがキリコを主人公とした短編を書き始められたのは1997年だとか。私がキリコちゃんシリーズを読み始めたのが2014年8月のことでシリーズ第一弾から第四弾まで一気に読んだ。そしてとうとう本作が最後。完結ではない。しかし最後であるからにはこの後新作に出会うことはなくなったわけだ。少し寂しい気がする。しかし近藤さんの他の作品を読むことはできる。それで良いではないか。
読了日:11月20日 著者:近藤 史恵


夜行 (小学館文庫)夜行 (小学館文庫)感想
まことに怖い小説です。何か得体の知れない世界に潜り込んでいくような感覚が読者を落ち着かない気分にさせます。登場人物それぞれが語る物語、「尾道」「奥飛騨」「津軽」「天竜峡」「鞍馬」がバラバラのようで繋がっているように感じる。まさに夜はどこにでも通じているのだ。そして夜行とパラレルの状態で曙光がある。いや、パラレルの状態というよりは対極として曙光がある。いやいや、そうではなく夜行の末に曙光があるのかも知れない。そう考えるとこの不気味な物語にも救いと希望がある。
読了日:11月20日 著者:森見 登美彦


犬の力 下 (角川文庫)犬の力 下 (角川文庫)感想
上巻574P、下巻467Pの量感、物語の始まりから最後まで息をつかせない疾走感、すごいというしかない。「このミステリーがすごい! 2010年版 海外編」(宝島社)で第一位に輝いたのも肯けようというもの。読み出したらもう停まらない。これは本当にフィクションなのか? 実在の人物や事件をベースに書いたのかと思うほど物語がリアルに迫ってくる。ケラーが正義のために為したことが殺しと復讐の連鎖を生む。赤ん坊が母親の腕の中で死んでいる姿、母が上に子が下に、その姿を常に思い起こす罪の意識こそがケラーの背負う十字架だ。
読了日:11月17日 著者:ドン・ウィンズロウ


犬の力 上 (角川文庫)犬の力 上 (角川文庫)感想
読み出したらもう停まらない。これは本当にフィクションなのか? アメリカと中南米にわたる麻薬戦争。この本の臨場感といったらどうだ。現実にもこんなことはあるんじゃないか? 実在の人物や事件をベースに書いたのかと思うほど物語がリアルに迫ってくる。主人公アート・ケラーの魅力もさることながら、麻薬カルテルの面々の人物像が異彩を放つ。娼婦のノーラ、アイルランド系の若者カランとその妻シヴォーンと魅力的な脇役が哀しみを添える。ケラーが正義のために為したことが殺しと復讐の連鎖を生む。罪の意識こそがケラーの背負う十字架だ。
読了日:11月13日 著者:ドン・ウィンズロウ

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