佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『経済学は人々を幸福にできるか』(宇沢弘文:著/東洋経済新報社)

2020/07/06

 

『経済学は人々を幸福にできるか』(宇沢弘文:著/東洋経済新報社)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

2003年刊の底本『経済学と人間の心』(四六版上製)の新装版。
著者は市場メカニズムや効率性の重視に偏った考え方を批判し、人間の尊厳や自由を大切にした経済社会の構築を訴えてきました。
実際、2000年代後半のリーマン・ショックや世界経済危機を経て、「人間が中心の経済」という思想はますます輝きを増しています。同時に、幸福な経済社会を作るうえで、経済学がどのような役割を果たせるかという議論が巻き起こっています。
新装版では底本の構成をガラリと変え、未公開の講演録2本を追加しました。さらにジャーナリストの池上彰氏が「『人間のための経済学』を追究する学者・宇沢弘文」と題して、解説を加えています。
ノーベル経済学賞候補と言われた世界的な知の巨人・宇沢弘文氏が、温かい言葉でその思想を語った、珠玉のエッセイ集です。

 

経済学は人びとを幸福にできるか

経済学は人びとを幸福にできるか

  • 作者:宇沢 弘文
  • 発売日: 2013/10/25
  • メディア: 単行本
 

 

 

 いつだったかNHKの『欲望の資本主義』という番組でジョセフ・スティグリッツが「日本には非常に偉大な知性がいましたよね。私の先生の宇沢弘文氏です」と語った場面があった。その言葉は今も強烈な印象を私に残している。

 本書には宇沢弘文氏の思想のエッセンスともいえる講演録や論攷、随筆、書評などがいくつか収められている。行きすぎた市場原理主義の問題、戦後レジームからの脱却を意図する日本への危惧、ベトナム戦争に象徴される60年代アメリカの病理、教育はどうあるべきか、地球環境をどう考えるか等々、近代社会の病竈を経済学者の視点で見つめ、人間が幸福に暮らせる社会を築くために経済学はどうあるべきかについて著者がどう考えるかを読み解くことができる。

 私の理解は浅いものだろうし、ひょっとしたら少しも理解できていないのかもしれないが、私なりに宇沢氏が何を云わんとしているかをまとめてみると次のようなことになる。

 経済という様々な生産、消費活動の中に存在する人の行動原理や法則を見いだし、それを説明するためには、それが理論である以上、そこから確かでないものをできるだけ排除する必要がある。確かでないものとは、たとえば人間の心のように理屈で説明しきれないもの、論理で割り切れないものである。金や富をできるだけ効率よく得ることを目的として経済学が行き着いた一つの答えが市場原理主義である。しかし今、行きすぎた市場原理主義の結果、世界に様々な問題が噴出しつつある。市場原理主義は決して人間を、社会を幸福にはしない。経済学が単に金を儲けるための学問なのであればそれでよいのかもしれない。しかしもし学問の目的が人々を幸せにすることにあるとすれば市場原理主義には欠陥があることになる。”There is no wealth, but life." ジョン・ラスキンのこの有名な言葉は経済学を学ぶ者が基本姿勢として持つべきものである。もし経済学者が時の政権に助言を与え、あるいは政権内部に入り込むならばなおさらである。確かに経済学の基本的な考え方はもともと、経済を人間の心から切り離して、経済減少の間に存在する鉄則や運動法則を求めるものであった。しかし宇沢氏は、そこになんとかして人間の心を持ち込みたいと悩んでいた。こうして宇沢氏が到達した理論が「社会的共通資本」という概念である。「社会的共通資本は、一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置を意味する」(宇沢弘文『社会的共通資本』)つまり大気や森林、河川、土壌などの自然環境と、道路や交通機関上下水道、電力・ガスなどの社会基盤、そして教育や医療、司法、金融資本などの制度資本から成り立つ。こうした社会的共通資本がうまく機能し安定的に維持されることで、一人ひとりの市民が人間的尊厳を保ち、人が人らしい生活を営むことができる社会を実現できる。経済学の役割、あるいは目的はそこにある。

 以上、こうしてまとめてみると、拙文ゆえ本書の良さが伝わらないだろうが、私の浅薄な読み方をもってしても非常に示唆に富む逸話がそこかしこに出てくる刺激的な読書時間であった。かくなるうえは宇沢氏の他のご著書を読んで理解を深めていきたいが、その前にもう一度『欲望の資本主義』で現在資本主義が直面している危機的状況と問題点を俯瞰してみたい。放映された番組をベースに単行本化された書籍があるのでそれを読んでいこうと思う。

 

欲望の資本主義

欲望の資本主義

 

 

 

欲望の資本主義2

欲望の資本主義2

 

 

 

 

「三岳」をロックでやりながら、レンズ豆のカレーと肉じゃがを作る

2020/07/05

本日の厨房男子。

「三岳」をロックでやりながら、レンズ豆のカレーと肉じゃがを作りました。

カレーは半日おいて夜に食べます。

酒のアテはキュウリの麹漬け。

関西では肉じゃがは牛肉で作るのが普通ですが、私の場合は豚肉です。

ジャガイモは親戚が持ってきてくれた新ジャガ。安全安心でうまい。

〆御飯は肉じゃがの汁をかけて。

行儀の悪い食べ方ですが、うまいんですこれが。

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「志みず」で家島の魚介に舌鼓を打ち、地酒に酔いしれる

2020/07/04

 

  かつての職場の仲間との昼食会を家島の割烹旅館「志みず」で開いた。永年いっしょに仕事をしてきた気心の知れた仲間である。「志みず」には数年前に同じメンバーで来たことがある。なかなか予約が取れない店である。新型コロナの影響を訊くと、大分戻ってきたという。リピーターの方が営業再開を心待ちにしていらっしゃったようで、次々と予約の電話が入っているという。

 魚は前どれのものを活きが良い状態で調理してあり、嫌な臭みなど一切無い。供される料理はどれもこれもしみじみうまい。当然、酒がすすんで仕方が無い。酒は播磨を中心に兵庫県のものを揃えてあり、これがまたうまい。酒がうまいから食がすすむ。食がうまいから酒がすすむ。もうどうにもこうにもとまらない。腹がはち切れそうになるまで食べ、かつ飲み、4時間ほど居座ってしまった。迷惑な客かもしれないが、それほど居心地が良く、料理にも酒にも大満足の時間であった。

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旬の会 @忠助

2020/07/02

 

 毎月第一木曜日は「旬の会」の開催日。出席は久しぶりです。新型コロナ渦中では開催が難しかったし、仮に開催できたとしても会社勤めをしていれば出席を躊躇うことにもなる。しかし先月会社を辞めたので、緊急事態宣言さえ解除されればもう躊躇うことも無い。

 会場は高砂の「忠助」。なじみの店である。土用もちかいということで、料理は鰻を中心に組み立てられていた。うまくて精がつく。夏にこれ以上の食べものもありますまい。その季節に一番おいしいものを供する、それは料理の基本だろう。そしてそのことは同時に客の健康を気遣うことでもある。

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6月の読書メーター

6月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1286
ナイス数:792

 

 6月は株主総会の月ということで、当然読書に裂く時間が少なくなる。小学館の「おいしい小説文庫」三冊と図書館で借りた旅物二冊、昆虫図鑑一冊の計六冊。



氷と蜜 (小学館文庫 さ 39-1)氷と蜜 (小学館文庫 さ 39-1)感想
最近、かき氷がブームになっており、そのかき氷が私のような年寄りが知っているものとは全くレベルの違うおいしさなのだということは噂で聞いてはいた。しかし世の中にゴーラーと呼ばれるかき氷愛好家で全国有名店を食べ歩く人がたくさんいることまでは知らなかった。かき氷愛好家がゴーラーであるなら、私のように居酒屋愛好家はザカラーとでも呼ぶのだろうか。そのあたりどうでも良いことだが気になる。
読了日:06月30日 著者:佐久 そるん


絶景駅100選  生涯一度は行きたい春夏秋冬の絶景駅絶景駅100選 生涯一度は行きたい春夏秋冬の絶景駅感想
生涯一度は行きたいといっても100選である。還暦を過ぎた私がすべてを見ようとすればそれこそ生涯をかける覚悟が必要だ。私は鉄ヲタではない。そこまでの覚悟はない。しかし全国各地をロードバイクを携えて旅をする中で、いつかは訪れたいと思う駅をいくつか選んだ。【湯野上温泉駅】【下段駅】【田儀駅】【北一已駅】【吉沢駅】【早戸駅】【奥大井湖上駅】【原木駅】【鹿討駅】  今年の夏は北海道に行くと決めた。旭川に立ち寄る前に留萌本線北一已駅】へ行こう。真っ白な蕎麦の花の向こうに小さな駅舎を見ることが出来るだろうか。
読了日:06月15日 著者:越 信行


「青春18きっぷ」ポスター紀行「青春18きっぷ」ポスター紀行感想
25年間、74枚のポスターをぱらぱらと頁をめくりながら見ていくだけで楽しい。写真もキャッチコピーも質が高い。「タンポポみたいに旅に出た」春はそうありたい。「大人には、いい休暇をとる、という宿題があります」ようし今年の夏は少し長い旅に出よう。そんなふうに気分が盛り上がってきます。やはり北海道の景色は圧倒的である。今年の夏旅は北海道で決まりです。注目すべきは予讃線「下灘駅」。1998年、1999年、2000年と三年連続で冬のポスターをこの駅が飾っている。ようし今年の冬は今治~松山~宇和島あたりを旅しよう。
読了日:06月14日 著者:込山 富秀


泣き終わったらごはんにしよう (小学館文庫 た 38-1)泣き終わったらごはんにしよう (小学館文庫 た 38-1)感想
この小説には悪人が登場しない。皆がお互いを思いやり、真っ当に生きている。人の気持ちが分かるヤツばかりだ。こんな世界は小説の中だけだ。人の世はそんなもんじゃない。きれい事をいうなという人は多いだろう。現にテレビをつければ一日中、俳優H、お笑い芸人Wの浮気報道がかまびすしい。しかし、この作品世界を信じられる人間でいたい。どんな状況にあっても人には希望が必要だし、ささやかな幸せが必要だ。そうでなければ生きている意味がない。小説はしばしば「そうあって欲しい夢」を見させてくれる。だから私は小説を好んで読むのだ。
読了日:06月14日 著者:武内 昌美


鳴く虫ハンドブック—コオロギ・キリギリスの仲間鳴く虫ハンドブック—コオロギ・キリギリスの仲間感想
日本で見られる鳴く虫の図鑑。図書館から借りた。キリギリス科クツワムシ科ツユムシ科コオロギ科マツムシ科ヒバリモドキ科カネタタキ科と体系的に原寸大の写真が掲載されているところが良い。特に幼虫から成虫まで成長段階を追って写真がある。5~6月の時期、庭の草花に若齢の虫を見ることがあるが、それが何の幼虫なのかを知るのに最適の図鑑でした。「ツユムシ」「アシグロツユムシ」の幼生はほぼ間違いないだろうと同定できましたが、相変わらず分からないものもある。もっと科目を幅広く図鑑をあたり探求すべしと決めた。虫の世界は奥深い。
読了日:06月13日 著者:奥山 風太郎


鴨川食堂もてなし (小学館文庫)鴨川食堂もてなし (小学館文庫)感想
人が生きていれば間違ったことをしてしまうこともある。そのときはそれが間違いと知らずに。そうしたい、そうしてあげたいと思っても叶わなかったこともある。後になって分かった深い思いやり、後戻りできない後悔、現世で会うことが叶わないもどかしさ、そうしたつらさは心の温かさの裏がえしでもある。切なさ、哀しみもまた、人が前向きになったとき人生の味わいに変わる。 今日はこの本を電車の中で読んだ。快速から新快速に乗り換える機会があったが、そのまま快速に乗ったままにした。少しでも長くこの本を読んでいたかったからである。
読了日:06月11日 著者:柏井 壽

読書メーター

天ぷら海鮮 神福

2020/06/30

かつての職場の仲間が送別会を開いてくれた。

6月25日の退任以来、7月4日までの間、ほぼ毎晩送別会をひらいてもらっている。

毎朝、自転車でトレーニングしてカロリー消費に努めているが、

夜に酒池肉林の暴飲暴食。

誠にありがたいことである。

多謝!

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