佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2013-12-29から1日間の記事一覧

作家の食卓

『作家の食卓』(平凡社 コロナ・ブックス)を読みました。 まずは出版社の紹介文を引きます。 立原正秋の豚のもつ茹でから渋沢竜彦の甘鯛の唐揚げまで、作家たちが毎日、朝昼晩、家庭で食べていたメニューを再現。ほか作家たちの「好きな場所、愛した味」「…

待ってる 橘屋草子

おふくは自分が不幸だと感じたことはなかった。母のお千佳がいたからだ。 日傭(ひよう)取り棒手振(ぼうてふり)を生業とする者が住む裏店では、貧困も空腹も茶飯のことであり、身体の一部のように、一生背負っていくしかないものだった。生まれてすぐに父…

ともえ

「女は殺すな。捕らえよ」 追っ手の声が聞こえたからか。前を駆けていた義仲がふりむきざま「巴ッ」と叫んだ。「死んではならぬ。捕らわれてもならぬ。逃げよッ」 馬はそうそう走れない。もはや敵を迎え撃つより手はなかった。となれば多勢に無勢、千にひと…