佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

名古屋「いば昇」の櫃まぶしを食す

 「いば昇」で櫃まぶしを食べた。店の佇まいはいかにも老舗。落ち着いており、のれんをくぐる刹那、鰻の芳ばしい香りが鼻をくすぐる。場所は中区錦3、通称「キンサン」、繁華街のど真ん中だ。きちんとした鰻屋は注文してから出てくるまでの時間がたっぷりある。注文をきいてから丁寧な仕事をするからだ。待っている時間も心なしかゆっくりと流れる。落ち着いた雰囲気でゆったりと鰻の焼けるのを待つ。これも老舗の醸す雰囲気のなせる技か。早く食いたいという気持ちが高まり、もう我慢ができないぞという頃、「おまちどおさま」と櫃まぶしが出てきた。おひつに入ったご飯にたっぷり鰻のざく切りがのっている。タレもほどよくご飯にしみこんでいる様子。これは期待できそうだ。まずは「肝吸い」。良い塩梅だ。茶碗に櫃まぶしを盛り、ワシワシと口にかき込む。う〜ん、期待どおりの旨さ。鰻は芳ばしく焼けている。普段、家で食べる脂ギトギト、べっちゃりぬめぬめした鰻とは違う。この味があるから、少々高くとも鰻屋で食べる価値がある。二杯目、三杯目は薬味をのせて、四杯目はお茶漬けで。お店の人に勧められたとおりの食べ方でいただいた。
 ところで「いば昇」ではお茶漬けは「お茶」でいただく。名古屋のもう一つの有名店「蓬莱軒」は「だし汁」をかけていただく。どちらが美味いか? これは好みの問題であり、どちらの勝ちか負けかを云々するのは野暮というものだろう。