佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

「チーム・バチスタの栄光」(海堂尊著・宝島社文庫)を読了

 第4回「このミス」大賞受賞作ということで、ずっと気になっていた本。今年の2月頃にNHK「週刊ブックレビュー」に海堂氏が出演しているのを見て、ますます読みたいと思っていた本がいよいよ文庫本化された。駅のキオスクで買い求めた。帯を見ると、この小説は近く映画化される予定もあるようだ。主演:竹内結子阿部寛。読んでみて、とにかく楽しかった。評判は聞いていたが、想像を遙かに超えたおもしろさであった。さすがに28万部を売っただけのことはある。
内容を「BOOK」データベースから引用する。

 東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の、通称“チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り、その勇名を轟かせている。ところが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか…。栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

  • 作者:海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2007/11/10
  • メディア: 文庫
チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

  • 作者:海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2007/11/10
  • メディア: 文庫

 けっして緊迫感のあるサスペンスではない。ほろっとさせる感動があるわけでも、あっと驚くトリックがあるわけでもない。しかし、読み始めからめくるめくメディカル・エンターテイメントの世界に引き込まれ、次の展開が気になり一気に読み進めずにはいられない。なにしろ、主人公のコンビ(田口公平、白鳥圭輔)のキャラが非常に印象的で強烈なのだ。脇役もなかなか個性的で、海堂氏は、脇役のキャラクターも丁寧に描き、その一人ひとりが魅力的なので、もう読者は小説の中にはまってしまうのである。ただただ物語の展開を楽しんでしまう。海堂氏は現役の医師らしいのだが、ものすごい才能である。シリーズ第二弾「ナイチンゲールの沈黙」、第三弾の「ジェネラル・ルージュの凱旋」の文庫化が待ち遠しい。