佐々陽太朗の日記

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『十角館の殺人』(綾辻行人:著/講談社文庫)

十角館の殺人』(綾辻行人:著/講談社文庫)を読み終えた。プーサンさん推薦の本である。

 

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

 

 

 

 

 なるほど、これが新本格派と称されるミステリーか。

私の読書はミステリーではハードボイルドと分類される小説を読むことが多い。当然、主人公の人物像、生き方、矜持に心惹かれるのであって、必ずしもトリックに重きを置かない。したがって、これまでいわゆる新本格派と称される作者の作品はほとんど読むことがなかった。このたびプーサンさんに勧められて読んでみたのだが、これが存外に面白かった。

 あらすじはこうだ。

 


 1986年3月26日、大分県K**大学・推理小説研究会の一行は、角島(つのじま)と呼ばれる無人の孤島を訪れた。彼らの目当ては半年前に壮絶なしんほぷーさぷ四重殺人事件が発生した通称・青屋敷跡と、島に唯一残る「十角館」と呼ばれる建物である。彼らはそんな島で1週間過ごそうというのだ。
 一方その頃、本土では研究会のメンバー宅に宛てて、かつて会員であった中村千織の事故死について告発する怪文書が送りつけられていた。怪文書を受け取った一人である江南孝明は、中村千織の唯一の肉親である紅次郎を訪ねる…。


 

 物語のはじめのほうで、登場人物の一人松浦純也の言葉が作者・綾辻行人氏のミステリに対する姿勢を物語っている。

 


 「僕にとって推理小説(ミステリ)とは、あくまで知的な遊びの一つなんだ。小説という形式を使った読者対名探偵の、あるいは読者対作者の、刺激的な論理の遊び(ゲーム)。それ以上でもそれ以下でもない。


 

 私としては異論がないわけではない。がしかし、この「十角館の殺人」というミステリのおもしろさはただものではない。脱帽である。

プーサンさん良書をありがとうございました。