佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『居酒屋かもめ唄 / 太田和彦(著)』(小学館文庫)

 

男は一人で居酒屋に行けるようでなければいけない。

 太田和彦の本を読むとしみじみそう思う。『居酒屋かもめ唄』を昨夜、読み終えました。太田氏が全国各地を旅して、その土地の居酒屋とバーをめぐる。ただそれだけの話。しかし私はその紀行文に惹かれる。巻末に解説を寄せている川本三郎氏は言う。「知らない町をひとり旅し、灯ともし頃に小体な居酒屋に入り、孤酒を楽しむ。大人の男の最高の贅沢ではないか」と。

 

背表紙の紹介文を引きます。


「・・・・大きなコの字カウンターは近所の商店主とおぼしき中年たちで、しだいに席が埋まってゆく。皆、”や”とか短い挨拶をかわし、知り合いばかりのようだ。・・・・地方の町の地元の人だけの古い居酒屋の空気がたまらなく心地よく、私は何も考えず放心し、盃を傾けた」(本文より)
 北は北海道から南は九州まで心にしみる居酒屋を訪ね歩いた酒場紀行の白眉である。その店で味わい、見聞きした美酒、酒肴、そして唄の数々。土地土地に根差し人の情がしみ込んだ酒場の灯が今宵もともる。まるで人生航路を見守る灯台のように―。
 



 今回の旅は「三国」「松江」「盛岡」「江差」「大阪」「大分」だ。それぞれに地元の人に永く愛されている居酒屋やバーを訪れ、その地の旨いものを食べ、その地の人とふれあい、酒を飲む。どの地も訪れてみたくなる。
 中でも特に行ってみたいと思ったのは「松江」だ。居酒屋「かねやす」「川京」「庄助」「なかはら」「五歩屋」、バー「山小舎」「バッカス」「ハートランド」。「バッカス」は今はもう無いかもしれないが、どの店も一度行ってみたい。歴史と文化のある町には良い居酒屋とバーがある。本書には紹介されていなかったが、ひょこまーのY隊長さんが昨年9月にブログに書いていらっしゃった「朔屋」「日本酒バーじう」にもかねがね行ってみたいと思っていたのだ。
 「大阪」は近いだけに行けそうな気がする。九条の居酒屋、「白雪温酒場」、西九条の「居酒屋グルメせぞん」、戎橋のバー「EVE」、堂島のバー「サンボア」、難波の「吉田バー」、梅田の居酒屋「十限無」、恵美須町のバー「Baby]、法善寺のバー「路」、長堀橋島之内の「居酒屋ながほり」etc...あぁ、やっぱり大阪はええなぁ。「サンボア」と「吉田バー」には行ったことがあるが、他はまだだ。そのうち行こう。

 気のあった仲間と居酒屋に行くのも良いが、ひとりでカウンターに席を取り、客の立て込んだ中で静かに孤独を楽しむ酒も良い。まして、それが遠い町であれば・・・・・