佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『まほろ駅前多田便利軒 / 三浦しをん(著)』 (文春文庫)

愛情というのは与えるものではなく、
愛したいと感じる気持ちを、
相手からもらうことをいうのだと・・・

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

 正月を唯一人で過ごしたことがありますか。家族も無く、友人と呼べるほどの親しい間柄を人と持つことなく、唯一人過ごす。そんな日々を送ったことがありますか。


 『まほろ駅前多田便利軒 / 三浦しをん(著)』を読みました。2006年3月に単行本が出版され、第135回(2006年上半期)の直木賞を取った作品ですが、今年になってやっと文庫化されました。待ちかねていました。


 東京と神奈川の間にあるまほろ市のまほろ駅前で、便利屋稼業をしてる多田啓介。正月の3日から、便利屋仕事。依頼人宅の前にあるバス停で高校時代の同級生・行天春彦に出会う。行天には行くあてがない。各々人に語ることのない過去を背負った二人、唯一人で生きていこうとしていたはずの二人が偶然出会ってしまった時、空気に微妙な変化がおこる。


 直木賞作品ですから当然ながら面白い。物語のはじまりから読者の心を鷲づかみし、次の展開が気になり一気に読んでしまう。読み進むうちに、登場人物にどんどん魅了される。脇役がイイ。良い小説の証左です。


次は「風が強く吹いている」を読みたい。三浦さんの描く箱根駅伝がどのようなものか、楽しみです。しかし、未だ単行本しか出ていない。私にとって単行本はデスクトップPC、文庫本は小型ノートPC。早く読みたいのは山々だが、出来ればモバイル版が良い。早く文庫本化してほしいものです。