佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

死んだらいややき。

うちを嫁さんにしてくれる約束、

破ったら許さんきに。


いっぽん桜 (新潮文庫)

いっぽん桜 (新潮文庫)


『いっぽん桜』を読みました。

裏表紙の紹介文を引きます。

仕事ひと筋で、娘に構ってやれずにきた。せめて嫁ぐまでの数年、娘と存分に花見がしたい。ひそかな願いを込めて庭に植えた一本の桜はしかし、毎年咲く桜ではなかった。そこへ突然訪れた、早すぎる「定年」…。陽春の光そそぐ桜、土佐湾の風に揺れる萩、立春のいまだ冷たい空気に佇むすいかずら、まっすぐな真夏の光のもとで咲き誇るあさがお。花にあふれる人情を託した四つの物語。

山本一力氏による四つの短編です。

    1.いっぽん桜

    2.萩ゆれて

    3.そこに、すいかずら

    4.芒種のあさがお

それぞれ山本氏らしい人情に溢れたすばらしい作品です。

実は「いっぽん桜」を読むのは二度目です。おなじく新潮文庫から発刊されている『たそがれ長屋』に収められている一編なのです。『たそがれ長屋』は老いをテーマに傑出した作品を選んで一冊の本にまとめた短編集です。再度読み返しても色あせることなく、かえって味わい深くなります。

http://hyocom.jp/blog/blog.php?key=67010

秀逸なのは「萩ゆれて」

題名には「萩」、主人公の名は「兵庫」、物語の舞台となるのは「土佐」という作品。 (^o^)

廻りの反対を押して武士の暮らしを捨て、見初めた漁師の娘と添い遂げる若者の姿を著したハートウォーミングな話です。私はこうしたハッピーエンドが大好きです。