佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

12月の読書メーター

1月1日

12月の読書メーター

正月早々ですが、先月のおさらいを・・・

 

12月は13冊。

良く読めました。

特に森見登美彦氏に出会えるという僥倖に恵まれた。

すばらしい歳末でした。

なむなむ!

 

12月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3197ページ


悪夢のギャンブルマンション (幻冬舎文庫 き 21-5)悪夢のギャンブルマンション (幻冬舎文庫 き 21-5)
オカマ・バー《スラッガー》のオーナー・ママのマッキーと全身美容整形サイボーグ(史上最強のオカマ)のジェニファーのコンビにジェニファーの元カレ・ギャンブルの天才《梅咲輝男》が加わった。息をもつかせぬ抱腹絶倒ガブリ寄り小説。これだけ楽しんで"571円+税"は激安!!
読了日:12月01日 著者:木下 半太


家族の言い訳 (双葉文庫)家族の言い訳 (双葉文庫)
作詞家さんの手になる家族をめぐる泣ける話八編を収めた短編集です。読んだ感想ですが、作詞家さんの小説です。例えば泣ける短編小説の書き手として第一人者の作家、浅田次郎氏と比べると、その差を感じざるを得ません。わたしの目には小説作家としての力量に明らかな差があると見えます。とはいえ、読んでいて何度も目頭を熱くしました。そうです、私は涙もろい男です。
読了日:12月02日 著者:森 浩美


月島慕情 (文春文庫)月島慕情 (文春文庫)
泣ける話ばかりです。浅田氏の「泣かせ」については、否定的な意見がある。例えば男のために自らを犠牲にするような男にとってまことに都合の良い女を創り上げるという欺瞞に満ちた小説だ、といった意見です。しかし私はそれはあたらないと思います。浅田氏が描く人物は、心には心で応える人物だから。つまり相手の気持ちに報いるために自分を捨てる覚悟を持っているからです。浅田氏は「シューシャインボーイ」の中で菊治にこう語らせます。「世間のせいにするな。他人のせいにするな。親のせいにするな。男ならば、ぜんぶ自分のせいだ」と。
読了日:12月05日 著者:浅田 次郎


太一×ケンタロウ 男子ごはんの本太一×ケンタロウ 男子ごはんの本
奇をてらったメニューでなく、定番の家庭料理を中心に作っているのが良い。二人の会話が微笑ましく「俺もいっちょ、作ったるか」という気にさせる。「秋の豚豚定食」「五目かた焼きそば」「和風あんかけオムライス」作りたい。食べたい。
読了日:12月05日 著者:ケンタロウ,国分 太一


裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)
世の中には様々なマニアがいる。鉄道、バス、写真、古本、切手、居酒屋、魚、蝶、路地、坂道、etc.…… 対象が何であれ、それを深く愛してしまい、突き抜けてしまうとそこには深遠な世界がある。北尾氏は『傍聴マニア』である。裁判所には、一度覗いてしまうと止められなくなるむきだしの人間ドラマがある。かくいう私も昨年仕事がらみで大阪高裁で裁判を傍聴した経験があり、裁判所の面白さを垣間見てしまった。今は仕事が忙しく、自分に何の関係もない裁判を傍聴する暇などないが、年老いて仕事を辞めたら裁判所をうろつく予感がする。
読了日:12月08日 著者:北尾 トロ


月下の恋人 (光文社文庫)月下の恋人 (光文社文庫)
浅田氏の小説集には月にまつわる話が多いですね。先日は『月島慕情』を読みましたし、ずいぶん前に読んだ『月のしずく』は私の最も好きな浅田作品です。泣かせあり、不思議な余韻を残す物語あり、十分に楽しませていただきました。浅田作品をして「あざとい」と非難する向きがあるようですが、そのような評価があるのは「小説の大衆食堂」を自認する浅田氏の巧さの裏返しではないでしょうか。
読了日:12月09日 著者:浅田 次郎


夜は短し歩けよ乙女夜は短し歩けよ乙女
私はこの本とともにいる間、なんとも心地よくちょっと不思議な世界を彷徨いました。そして、ひたすら彼女に声援を送り、彼女を好きになっていきました。ちなみに彼女は天然です。いや天真爛漫といった方が適切でしょう。いやそれでも足りない。純真無垢、無邪気、可憐という称号も付け加えさせていただきましょう。妄想と現実とをごちゃごちゃにする無謀も、奇遇というご都合主義も、中身がなく結末がみえみえという誹謗中傷の類も、彼女の罪のない無邪気の前には全く説得力を持たない。なぜなら、理屈で無垢を断ずることはできないから。なむなむ!
読了日:12月14日 著者:森見 登美彦


銀天公社の偽月 (新潮文庫)銀天公社の偽月 (新潮文庫)
この本の評価なのですが、微妙・・・です。ただ一つ言えるのは「この小説は他国語に翻訳できない」ということ。何とかなりそうなのは漢字という表意文字を持つ中国語のみ。他の言語への翻訳は不可能だろう。小説が読者に何かを伝えるものだとするならば、翻訳不能ということは小説であるための必要条件を満たしていないのではと疑問を禁じ得ない。この小説は例えるならば「抽象画」のような小説で、良いと思えば良いのだが、感性が合わなければ最悪という評価になる。理解するより感ずる小説なのだ。
読了日:12月16日 著者:椎名 誠


竹原慎二のボコボコ相談室竹原慎二のボコボコ相談室
いやあ、何度読んでも痛快、痛快!! 例えば「やりたい仕事が見つからない。自分に合う仕事に巡り会うためには?」という相談に対しては「なーにが~めぐり合う~じゃ、仕事は出会い系じゃねーよボケ」という回答。さらに「自分に合う・合わないは、努力できん奴の言いワケじゃ」ととどめのカウンターパンチを見舞ってくれます。大好きだな~ (^o^) ずいぶん乱暴な回答のようですが、ぐだぐだ悩んでいるサラリーマンに活を入れてくれているとも言えます。口ではバッサリと切って捨てますが、けっして見捨てていないところがイイです。
読了日:12月17日 著者:竹原慎二


生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
生命とは何か? 「それは自己複製を行うシステムである」 これが本書のテーゼである。 そしてこのテーゼの基盤となるのは、互いに他を相補的に写し取っているDNAの二重らせん構造である。しかし著者はそれだけでは生物の定義として不十分であるという。たとえば、ウィルスは細胞にとりつきDNAを注入することで自己増殖を果たす。 その意味では生物だあるとも言えるが、著者は「ウィルスは生物と無生物のあいだをたゆたう何者かである」とする。そのあたりの境界、生物と無生物を隔てるなにかをさぐりあて定義する、それが本書のテーマです
読了日:12月23日 著者:福岡 伸一


蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)
美しく洒脱な文章が随所にちりばめられています。さらに世間や人間に対する鋭い洞察、厭味のないユーモアがあり、読み物として奥の深い興趣を添えています。高校時代に読んだときとはまた違った楽しみを持って読ませていただきました。「杜子春」やっぱりイイ話です。「白」も好きです。「蜜柑」文章の見本です。収められた短編すべてが二十六歳から三十一歳の若い頃に書かれた作品ばかり。小難しくなく本質にズバッと切り込む潔さが清々しく好感が持てる。やっぱり芥川はこの頃が良いですなあ。
読了日:12月24日 著者:芥川 龍之介


お騒がせなクリスマス (扶桑社ミステリー)お騒がせなクリスマス (扶桑社ミステリー)
ステファニー・プラム・シリーズの良さは家族愛です。クリスマスの時季、知人には必ずカードを送り、家族にはプレゼントを贈る。そうした習慣をとても大切にしている国で、ひときわ温かく濃密な繋がりのある家族。その家族を取り巻く街の人々。そう、この街は「バーグ」、ニュージャージ州トレントン地区。幼なじみもご近所さんもみんな親戚みたいなおつきあい。赤の他人でさえこの街に住んでいれば家族・親戚と同じである。著者イヴァノヴィッチ女史はこの街に住む人間を、変な奴も、犯罪者でさえ温かい目で描く。読んでいて何とも幸せになる一冊だ
読了日:12月29日 著者:ジャネット イヴァノヴィッチ


太陽の塔 (新潮文庫)太陽の塔 (新潮文庫)
京都の冬に暴力的な猛威をふるうクリスマスという厚顔無恥な馬鹿騒ぎを憂い、昨今の恋愛礼讃主義に敢然と異を唱え、かような理不尽極まりないクリスマスファシズムに対し「日本人はもう一度節度を取り戻さねばならぬ」と固く心に誓う四人組の哀しくも苦悶に満ちた学生生活。彼らは溢れんばかりの知性(痴性?)を持って生まれ、その知性を無駄にすることおびただしい。軽佻浮薄な風潮に流されることなく、荒ぶるジョニーをかろうじて理性で統制する彼らは紛う方なき日本男児。彼らに魂の救いはあるのか。願わくは彼らに神の祝福多からんことを。
読了日:12月31日 著者:森見 登美彦