佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

7月の読書メーター

7月の読書メーター

先月の読書は個人に好きな本が多かったですね、満足です。

賛否は分かれるかも知れませんが『山本耳かき店』が最高でした。

 

読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3571ページ

はるき悦巳短編全集 力道山がやって来た (ビッグコミックススペシャル)はるき悦巳短編全集 力道山がやって来た (ビッグコミックススペシャル)
はるき悦巳という類い希な才能の原石を見るような13点の作品。おかしさの中に、懐かしさと切なさをもつテイストは、名著『じゃりん子 チエ』と共通している。最近、つまらん世の中になってきたなとお嘆きの貴兄にお薦めの一冊です。
読了日:07月31日 著者:はるき 悦巳

 


沈黙の春 (新潮文庫)沈黙の春 (新潮文庫)
一九五〇年代にアメリカにおいて、大量の農薬や殺虫剤をまくという暴力的な化学的防除策が惹き起こした生態系破壊、人体への悪影響を克明にレポートし、全世界に警告を発することで環境汚染問題を先駆的に取り上げた書です。人類が自然の摂理に逆らい、自らに都合の良い自然を創ろうと思い上がった行動に出ても、人類に都合の良い環境どころか自らの生存に危険が迫るという好まざる結果を生んでしまったという皮肉。
読了日:07月31日 著者:レイチェル・カーソン

 


センス・オブ・ワンダーセンス・オブ・ワンダー
ひさしぶりに子供の頃に見た雨の日の森、水を含んだ地衣類の緑の美しさを思い起こしました。虫眼鏡で覗く世界のワクワク感を思い出しました。植物図鑑と昆虫図鑑を買って、虫眼鏡を持って出かけたくなりました。出かけた先で、ふと目にとまった草花や昆虫を写真におさめ、家に帰ってから図鑑を覗く。そんな楽しみも人生にはあって良い。レイチェル・カーソン氏の文章も素敵ですが、森本二太郎の写真が素晴らしい。
読了日:07月25日 著者:レイチェル・L. カーソン

 


サニーサイドエッグ (創元推理文庫)サニーサイドエッグ (創元推理文庫)
フィリップ・マーロウを我が心のヒーローとする人間にはたまらない小説です。読む所々で主人公・最上俊平の台詞にニヤリとさせられます。丁度、主人公・最上俊平とバー「J」のマスターとの会話の中でチャンドラーを引用し、お互いの波長が共鳴するように。事件はたかが猫探しである。しかし事件の解決にあたって安きに流されることなく、他に迎合せず、ここ一番でやせ我慢する主人公・最上俊平の生き様は、たとえそれが周りの者には滑稽に写っていたとしても、切ないほどにハードボイルドしている。
読了日:07月24日 著者:荻原 浩

 


山本耳かき店 (ビッグコミックススペシャル)山本耳かき店 (ビッグコミックススペシャル)
女性に膝枕してもらう。そして耳かきをしてもらう。何と甘美な時間であろうか…… まさに淫靡、耽溺。 膝の上でこりこりしてもらう恍惚の時間の最後に、耳かきの反対側についているぼんぼんで耳穴をやさしく撫でてもらい、「ふっ」と息を吹きかけてもらう。官能が全身を駆け抜け、我が精神は何ものかから開放され涅槃に入る。耳かきに一種のフェティシズムを感じる方にはこれほど素晴らしい本はない。しかし、そうでない方にはこれほどつまらない本もない。
読了日:07月22日 著者:安倍 夜郎

 


容疑者Xの献身 (文春文庫)容疑者Xの献身 (文春文庫)
探偵ガリレオ」こと物理学者湯川学シリーズの長編作。直木賞をとっちゃってます。泣けます。東野さんて『手紙』でも『白夜行』でも『さまよう刃』でも、主人公の想いが深く熱い。それも真面目に熱い。好きです、そんな人。
読了日:07月21日 著者:東野 圭吾

 


町長選挙 (文春文庫)町長選挙 (文春文庫)
今回は病んだ人だけでなく病んだ島まで伊良部流に治療してしまうところが何とも不思議であっぱれです。そして今回も私はいつか伊良部総合病院の薄暗い地下にある神経科を患者として訪ねそうな気がしながら読みました。私はけっして物語のモデルになったような有名人でもなければ重要人物でもないけれど……。マユミさんになら注射を打たれてもいいなぁ。(笑)
読了日:07月18日 著者:奥田 英朗

 


空中ブランコ (文春文庫)空中ブランコ (文春文庫)
この本を読むと自分は本当に「よい子」だなあと思う。そして自分もいつか神経科にかかるかもしれないなあと思う。なんというか「まとも」であることの危うさを知ることで価値観に少しずつずれが生じ不安定になります。でも楽しい。看護婦のマユミさんカワイイ。
読了日:07月14日 著者:奥田 英朗

 


辰巳八景 (新潮文庫)辰巳八景 (新潮文庫)
江戸深川を舞台にした市井時代小説です。「辰巳」とは江戸深川のこと。深川は江戸城の辰巳の方角(東南)にあたるからです。山本一力氏が長唄『巽(辰巳)八景』に材を得て紡いだ八篇の物語です。八編とも極上の物語です。それぞれ味わいが深く、私は一篇読み終えるごとにしばらく心地よい余韻に浸りました。中でも「永代寺晩鐘」と「やぐら下の夕照」が秀逸。
読了日:07月11日 著者:山本 一力

 


すっぽんの首 (文春文庫)すっぽんの首 (文春文庫)
いつものとおり、日常をスルドク見つめるシーナさん独特のエッセイです。シーナさんが若く流通業界紙の編集長をしていた頃の話も出てくるので、シーナ・ファンには嬉しい。それにしてもシーナさんの排泄に関する考察は結構奥深い。本書に収められた「たびのねるだす」を読んで「ウーン……」とうなられた方は、他のエッセイ集『ロシアにおけるニタリノフの便座について』を読まれることをお薦めしたい。たしか劉邦の皇后呂太后が憎らしい愛人に対して行った「人豚」というすさまじいリンチの話が載っていたと思います。怖ろしい話です。
読了日:07月06日 著者:椎名 誠

 


深川黄表紙掛取り帖 (講談社文庫)深川黄表紙掛取り帖 (講談社文庫)
時は元禄七年七月、よろず引き受け屋を裏家業にする四人の若者の活躍劇。四人の機知が元禄バブルに踊ったよこしまな奴らの鼻を明かします。江戸深川の粋、何よりも見栄を大切にする気質がよく描かれています。読んで痛快、読後感爽やか。本書はコンゲーム小説としての楽しみが一番ではあるが、蔵秀と雅乃のお互いを想う淡い気持ちの行方も気になるところ。
読了日:07月03日 著者:山本 一力