佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2月の読書メーター

2月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:4718ページ

 


 先月も『STORY BOX』既刊本を追いかけた。やっと半年遅れまで追いついた。「偏差値70の野球部」が抜群に面白くなってきている。残り5冊を一気に読み、月初めの発売を首を長くして待つ生活に入りたいものだ。

 また、先月は初めて読んだ作家さんが大当たり。斎藤純氏『銀輪の覇者』、伊藤計劃氏『虐殺器官』、山本久幸氏『ある日、アヒルバス』、川上弘美氏『センセイの鞄』、それぞれの個性は全く違うものの、どれもが心に残る逸品であった。巡り逢えた僥倖に感謝。


 

 


STORY BOX 11 夜行STORY BOX 11 夜行
今回は長岡弘樹氏の「初任」が良かった。「ザ・キャビネット」(室積光)、「偏差値70の野球部」(松尾清貴)は絶好調だ。
読了日:02月01日 著者:飯嶋 和一,北上 次郎,五條 瑛,嶽本 野ばら,堂場 瞬一,長岡 弘樹,松尾 清貴,三羽 省吾,室積 光,森見 登美彦


銀輪の覇者 上 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1)銀輪の覇者 上 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1)
カトリーーーーヌ!!
読了日:02月02日 著者:斎藤 純

 

 


銀輪の覇者 下 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2)銀輪の覇者 下 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2)
正直なところ、自転車レースの描き方にはやや不満が残ります。下関から青森まで本州を縦断するという壮大さには心惹かれるものがあるものの、自転車がレース用でない、出場選手の多くが一攫千金を狙った素人であるが故にレースとしての質が落ちてしまう。しかしこれも、昭和9年の日本という設定を考えればやむを得ないところか。逆に、出場選手の多士済々ぶりが、それぞれの背負う人生を描くうえでプラスにもなっている。レースの推移を物語の軸としながら、カットバックの手法で、レースに係わる人物の人生を活写するところに妙味がある。
読了日:02月04日 著者:斎藤 純


STORY BOX 12STORY BOX 12
「ザ・キャビネット」(室積光)が遂に完結。史上最低内閣を現実に目の当たりにしながら、小説世界での史上最強の内閣はなんと素晴らしかったことか。もう続きがないのが寂しい限り。「偏差値70の野球部」(松尾清貴)と「異境」(堂場瞬一)は佳境に入ってきた。目が離せず。今月号から「限界集落株式会社」(黒野伸一)が新連載。日本を救う逆転ホームラン小説とはどのようなものか、今後の展開が楽しみ。先月号で「返信」(野島伸司)のつづきが気になっていたが、今月は休み。気を持たせる。
読了日:02月08日 著者:黒野 伸一,五條 瑛,堂場 瞬一,松尾 清貴,室積 光,森見 登美彦,飯嶋 和一,北上 次郎,久保寺 健彦


虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
伊藤氏は9・11のあとの近未来社会でテロの驚異を根絶するために徹底的な管理社会を出現させ、絶大な力もつ国家を描くことで「正当化された殺人があるかどうか」という命題(この命題はドストエフスキーが『罪と罰』で問うた命題でもあるが)を読者に突きつける。そして「生まれたばかりの赤ん坊の心は真っ白な石版であって、その後の心や行動はすべて環境によって書き込まれる。従って人はみな平等だ」などという浅薄な”そうあるべきだ”理論に疑問符を投げかけているところがすごい。
読了日:02月11日 著者:伊藤 計劃


坂東大蔵 花暦―芸道一代記坂東大蔵 花暦―芸道一代記
姫路市出身の舞踊家、坂東大蔵さんが歩んでこられた人生を芸人一代記に仕立ててあります。著者は千田草介氏。千田氏とは月一回の読書会で会って本の感想や意見を交換し合う間柄です。そんな千田氏が本を出版されたとあっては当然買い求めます。読みます。当たり前です。本の見開きにサインもいただきました。(笑)
読了日:02月12日 著者:千田 草介


STORY BOX 13STORY BOX 13
月刊誌でVol.13ということは創刊1周年号である。あさのあつこさんの新連載「結婚」が本号からスタートした。森見登美彦氏の怖い話「夜行」がついに最終回。黒野伸一氏の「限界集落株式会社」が第二回にしてグンと面白くなってきた。「ザ・キャビネット」が前号で完結し、楽しみ大幅減かと心配したが杞憂であった。読み終わって早くも次号が気になる。
読了日:02月13日 著者:あさの あつこ,飯嶋 和一,北上 次郎,黒野 伸一,五條 瑛,嶽本 野ばら,堂場 瞬一,松尾 清貴,三羽 省吾,森山 大道


ある日、アヒルバス (実業之日本社文庫)ある日、アヒルバス (実業之日本社文庫)
主人公の秀子(デコ)はけっしてずば抜けた能力がある子ではありません。小説の主人公としては「特別」というよりむしろ「普通」の子。そんな彼女がバスツアーのお客様に心を込めて案内をする。もちろん給料をもらっているのだから当たり前です。しかしややもすれば、給料が安いだの会社が正当に評価してくれないだのといった理由を付けて手を抜く人が多いのも事実。でもデコちゃんは違います。デコちゃんが一生懸命仕事をするのは、それが自分の仕事だからです。「仕事は一生懸命するもの」そんな当たり前のことを当たり前にする主人公が清々しい。
読了日:02月16日 著者:山本 幸久


センセイの鞄 (文春文庫)センセイの鞄 (文春文庫)
川上さんってほんとうに上手いなと思うのは、主人公・月子の呼び方です。あくまで「ツキコ」なのです。そして先生は「先生」でも「せんせい」でもなくカタカナの「センセイ」なのです。この呼び方、字面だけでこの二人の会話がグッと良い感じになっています。物語の中でツキコさんは何度も「センセイ」と話しかけます。センセイは何度も「ツキコさん」と話しかけます。そこにとても良い空気が流れます。良い小説に出会いました。
読了日:02月23日 著者:川上 弘美


STORY BOX 14 限界集落株式会社STORY BOX 14 限界集落株式会社
嶽本野ばら氏の「金脈」がついに最終回。おお、それでこそグレイトフルなジジイだ。このジジイ、実は「嫁を大事にする男」であった。ジジイの生き様に乾杯。本号のタイトルともなった黒野伸一氏の「限界集落株式会社」が第三回目。村を会社にする起業エンターテイメントの開幕。
読了日:02月24日 著者:あさの あつこ,飯嶋 和一,北上 次郎,黒野 伸一,五條 瑛,嶽本 野ばら,堂場 瞬一,長岡 弘樹,松尾 清貴


白銀ジャック (実業之日本社文庫)白銀ジャック (実業之日本社文庫)
実業之日本社文庫の創刊ラインナップ(9作品)の一つだけに質の高いサスペンスでした。東野作品としてはライトで物足りなさを感じる人も多いと思いますけど……。単行本発売が無くいきなり文庫オリジナルというのが文庫派の私としては何よりも嬉しい。途中で謎を解いた気になっていましたが、結末はさらに予想を超えたものでした。東野氏、流石です。
読了日:02月27日 著者:東野 圭吾


ヨコミネ式 子供が天才になる4つのスイッチヨコミネ式 子供が天才になる4つのスイッチ
横峯氏に会う機会に恵まれ、氏のお考えをもう一度確認しておこうと読みました。30分ほどお話をさせていただきましたが、やはり魅力に溢れた方でした。私ももう五十路。残りの人生は子供をやる気にさせる「スイッチ」を常に頭に置いて生きてゆこうと思います。少なくとも説教クサイだけの老人にはなるまい。
読了日:02月27日 著者:横峯吉文