佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

STORY BOX Jul.2011 vol.23

財務大臣の立場で言わせてもらうとやな、宗教の自由を憲法で謳うてるんやからすべての宗教を認めてや、宗教法人から税金を取り立てればええという話なんや。だいたいがやで、世界史の中で宗教に救われた人と、宗教で命を失った人とどっちが多いんや、っちゅう話や。そりゃはるかに殺された人の方が多いで。アメリカの言うテロとの戦いも、根っこはイスラム教とキリスト教宗教戦争や。宗教が殺意を生む。戦いのモチベーションを高めるんや。そないなもんを特別扱いする方がおかしい。職業的宗教人はみんな濡れ手で粟のおいしい商売してはるわ。額に汗して働かん者は税金高くなって当たり前やと思うんやけどな」

                         (本書P32 「史上最強の内閣2」より)

 

 

 『STORY BOX Jul.2011 vol.23』を読みました。

  今号からの新連載が二本。以前の連載で大好きだった『史上最強の内閣』に続編『史上最強の内閣2』の連載が始まった。冒頭引用した浪花財務大臣の科白にウンウンと頷く。世界史を習っていた高校時代から私も同じようなことを考えていた。一年前まで連載された「史上最強の内閣」にも、我が意を得たりとの記述がたくさんあった。室積氏とは意見が合う。もう一本は『インバウンド』。作者は阿川大樹(あがわたいじゅ)氏。なんでも劇団「夢の遊民社」の旗揚げに参加し、その後シリコンバレー半導体企業を立ち上げるなど異色の経歴を持つ方らしい。しばらく注目していきたい。森見登美彦氏の「モダンガールパレス」は今月もお休み。禁断症状が出そうだ。来月は掲載して欲しい。


「史上最強の内閣2」(室積光
 第一回。
 米軍基地問題で鷹山首相の進退が窮まり、代わって登場した管良内人(くだらないと)内閣は国民の目から見ても海外の目から見ても明らかに力不足の二軍内閣である。そのような状況にあって、国民は再び影の一軍内閣である二条内閣の登場を切望しているという笑うに笑えない状況設定で物語はスタートした。再び影の一軍内閣の登場はあるのか。室積氏は現実の政治状況の変化次第で物語を変えていくつもりなのか? 興味津々で次号連載を待つ。


「インバウンド」(阿川大樹)
 第一回。
 企業に代わってお客様からの注文や苦情を承るコールセンターが物語の舞台。異色の経歴を持つ阿川氏がどのような物語で楽しませてくれるか、こちらも興味津々で次号連載を待つ。


北上次郎の本の話」(第二十三回「通話」について)
 紹介された本『国境のハーモニカ』(池永陽)は今号を読んでいなければおそらく本の存在すら知ることはなかっただろう。現に出版元(角川文庫)では品切重版未定である。しかし北上氏に紹介されてしまっては読まずにいられない。amazonにアクセスし古本で発注してしまいました。


「偏差値70の野球部」(松尾清貴)
 第十九回。
 オイオイ、ついに甲子園常連の海鵬学園をピッチャー交代にまで追い込み、八回裏でついに同点に追いついちゃったよ。偏差値70は甲子園常連の野球に勝ってしまうのか?


「候補(リスト)」(五條瑛
 第十九回。
 「国家が都市の奴隷になることもあり得る」とはどういうことなのか。五條氏は過去十九回の連載で深めてきた謎にどのような壮大な答えを用意しているのか? 楽しみではあるが、ひょっとしてしょーもない答えだったらという不安もある。とにかく次号を楽しみにしよう。


震える牛」(相場英雄)
 第三回。
 企業ぐるみの犯罪を主題にした社会派ミステリらしく緊張感満点。早く続きが読みたい。


「狗賓童子の島」(飯嶋和一
 第二十三回。
 前前前前前前前前前前前前前前前前前々回より連載を細切れに読むのは無理と判断し飛ばしたまま。飯嶋さんゴメンナサイ。