佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

11月の読書メーター

11月の読書メーター

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読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3003ページ
ナイス数:1554ナイス

 

先月もたくさんのナイス☆!をいただきました。ありがとうございます。

 

 さて、先月のラインナップはいろいろな意味で充実しておりました。

 最初に読んだ『イレギュラー』はスポーツものの最高峰といってもよいぐらいのものです。高校野球嫌いの私がはやく続きが読みたいと思ったのですから。

 『挑戦する酒蔵』、『ハナビ』、『ラ・パティスリー』の著者は姫路あるいはその近くに住んでいらっしゃる方です。読ませていただいたご縁に感謝したいと思います。

 『ヤマダチの砦』、『津軽百年食堂』は物語として素晴らしく、著者のストーリー・テラーとしての実力を感じさせるものでした。ほかの作品もぜひ読ませていただこうと思います。



イレギュラー (角川文庫)イレギュラー (角川文庫)
読み出したら最後、他のことが手につかず一気読みです。物語として読者の興味をグイグイ惹きつけ没頭させる、そんな力のある小説です。ただただストーリーを楽しみ、その展開にハラハラドキドキさせられながら、続きがどうなるか気になって目が離せない。例えば良くできた続きもののドラマがありますが、その週の話を見終わって「次週につづく」とテロップが流れたときの「あぁ~、つづきが気になる~、いったいどないなるねん?」という気持ちで読み続ける感じです。高校野球を観なくなってから久しい私ですが、めったやたらと熱くなりました。
読了日:11月05日 著者:三羽 省吾

 


挑戦する酒蔵―本物の日本酒をもとめて挑戦する酒蔵―本物の日本酒をもとめて
著者のお一人、吉岡幸彦氏から頂戴したご本である。ありがたいことです。ご本をいただいたことだけではなく、普段から酒を酌み交わし親しくさせていただいていることに感謝。日本酒に関する知識の薄い読者のことも考え、まずは日本酒の醸造過程も含めた酒の基本を解説したうえで、個性的かつ意欲的な酒蔵の取り組みを紹介し、〆はそれを飲ませる名居酒屋を紹介するという内容。まさに「一麹、二酛、三造り」という酒造りの基本を押さえたかのような構成だ。全体をとおして酒を心から愛し、酒蔵を熱く応援する気持ちがひしひしと伝わってくる。
読了日:11月06日 著者:世古 一穂,吉岡 幸彦,土田 修,中島 秀雄

 


東南アジア四次元日記 (文春文庫PLUS)東南アジア四次元日記 (文春文庫PLUS)
四次元とは何か。著者はよく判らない状況を四次元的と表現しているようだ。確かに四次元はよく解らない。私が住んでいるこの世界は三次元の立体空間である。その私の影は二次元の平面として映る。ということは、もし私が四次元的人間であれば、私の影は三次元の立体として映ることになるのか。三次元の影とはいったいどのようなものなのか? 解らない。この本を読んで判ったのは、人間はよく判らないところを彷徨うものだということ。判らないことを楽しむ、よく判らない生き物だということ。コレを読んでいるあなた、私のいうことが判りますか?
読了日:11月08日 著者:宮田 珠己

 


ヤマダチの砦 (新潮文庫)ヤマダチの砦 (新潮文庫)
守るべきものができたとき、男は恐怖に打ち克ち強くなる。 ――中谷航太郎氏はお初です。それもそのはず、この小説は中谷氏の小説デビュー作らしい。どうやら中谷氏は写真家で写真集と『大江戸橋ものがたり』というエッセイが発刊されているようだ。ウィキペディアにも未だ未掲載。情報がほとんど無い。時代物としては和田竜をおもわせるライト感覚。キャラが立っていて物語の面白さで読者をグイグイ惹きつけるタイプの作家だ。深さはないが、私はこの種の楽しめる小説が大好きだ。今後、注目したい。
読了日:11月12日 著者:中谷 航太郎

 


残したい日本の音風景100選―大切にしたい身近なサウンドスケープ (ブルーガイドニッポンアルファ)残したい日本の音風景100選―大切にしたい身近なサウンドスケープ (ブルーガイドニッポンアルファ)
先日、ツリーハウスで手に入れた古本です。1997年4月に刊行された本のようです。ビジュアルな風景でなく、音に着目したところが私の興味を惹きました。ページを捲りながら、実際に自分がその地を旅することを夢想するのが楽しい。例えば「道後温泉振鷺閣の刻太鼓」(どどん どん どん、 どどん どん どん) 午前6時半に鳴る太鼓と同時に道後温泉本館の朝湯に浸かり、「昨夜はよく飲んだな」と二番町のバー露口のマティーニを想う。さっぱりした後は道後公園をぶらぶら散歩。ベンチに腰掛け漱石草枕」を読む。いいなぁ。
読了日:11月12日 著者:

 


酒食生活 (グルメ文庫)酒食生活 (グルメ文庫)
私が敬愛する山口瞳氏の酒にまつわるエッセイ。山口氏行きつけの店や旨いものの話は酒飲みにはたまらない。まさに垂涎もの。横浜・八十八の鰻丼は食べてみたいが、もう無いのかな。倉敷・千里十里庵で魚料理は是非とも食べたい。金沢・つる幸はちょっと敷居が高いか? 酒を飲めることは幸せだ。山口氏の言をかりると、酒を飲めない人は人生を半分しか生きていないのである。そして酒乱でありたい。乱れぬ酒などつまらないのだ。しかし酒乱なりに礼儀作法はわきまえたい。「軽佻浮薄でありながら立派な酒飲み」でありたいと願いつつ今日も居酒屋へ。
読了日:11月16日 著者:山口 瞳

 


食堂かたつむりの料理食堂かたつむりの料理
小川糸さんの小説『食堂かたつむり』を読んだのが昨年4月のこと。それ以来、ずっと「桃ちゃんのためのジュテームスープ」「お妾さんのためのサムゲタンスープ」「熊さんのためのザクロカレー」がどんなものなのか、どんな味なのか、頭の中でいろいろと想像していました。そして、見つけたこの本。小説『食堂かたつむり』からの文章の引用にあわせて、実際に作ってみた料理の写真とレシピが掲載されている。こうなればあとは作ってみて食べるしかあるまい。料理の写真が素晴らしい。観ているだけで幸せな気分になる。
読了日:11月19日 著者:オカズデザイン,小川 糸

 


津軽百年食堂 (小学館文庫)津軽百年食堂 (小学館文庫)
物語の主役たる大森食堂の親子四代は真心を持ってひたむきに生きる善良な人たちだ。そして、今も昔も善良な心を持ってひたむきに生きる人に対して、世の風は厳しく辛いことが少なくない。善良であるが故に、それが弱さに繋がってしまうこともある。器用に立ち回ることができず、それゆえ裕福な暮らしはできないけれど、頑なに大切なものを守り続ける。家族を思いやり、周りの人を思いやって生きる。そうした人たちに神様は最後にはきっと温かく微笑んでくださると信じたい。そんな祈りにも似た思いを抱かせてくれる心温まる小説でした。
読了日:11月20日 著者:森沢 明夫

 


ほっと文庫 郵便少年ほっと文庫 郵便少年
さっき小説とパッケージになっていた入浴剤をいれたお風呂に入りました。小説は紙に印刷されているのでお風呂で読むわけにはいきませんでした。ぼくはそれをたいへん残念におもいました。お風呂からあがって、32ページの小説を読みました。そして、今日のお風呂の香りがアオヤマ君とハセガワ君がタイムカプセルを埋めた日の朝の森の香りだったことを知りました。話は変わりますが、この小説にはISBNがありません。きちんとISBNをつけてほしかったな。なぜって、これはとても素敵な小説だったから。たったの32ページしかないけれど。
読了日:11月22日 著者:森見 登美彦

 


ハナビハナビ
若歌子が高校生の頃、好きだったのはハナビという名のオトコ。好きになったのに理由など無い。理屈ではない何か、圧倒的な魅力に魅せられたのだ。何度ハナビの自分勝手な振る舞いに振り回され涙しても彼の呪縛からは逃れられなかった。一方、ようやくハナビの呪縛が弱まったころに出会ったマサキ。若歌子はマサキに惹かれるが、それはハナビに感じた種類の感情ではない。マサキの若歌子に対する接し方はどこまでも優しく穏やかだ。「マサキは若歌子を決して放っておかないが、ほったらかしだ」という著者のセンスが秀逸だ。
読了日:11月24日 著者:中居真麻

 


森見登美彦の京都ぐるぐる案内森見登美彦の京都ぐるぐる案内
森見フリークの私としてはたまらなくなって、愛車ビアンキを伴い京都へ出かけた。四条大橋、東華菜館、下鴨神社京都大学京都市美術館などなど、小説を思い浮かべながら走り回った。当然のことながら東華菜館のスペイン風の塔に弁天はいない、下鴨神社で古本市は開かれておらず、明石さんの姿もない。というより私は明石さんの姿を知らないのでそこに明石さんがいても判らないのだ。ついでにといっては万城目氏に失礼だが、百万遍交差点ではオニの姿を探し、吉田神社では京大青龍会のレナウン裸踊りを夢想した。幸せな一日であった。
読了日:11月27日 著者:森見 登美彦

 


ラ・パティスリー (ハルキ文庫)ラ・パティスリー (ハルキ文庫)
初読みの上田早夕里氏。ミステリーかと思って読み始めたが違っていた。ではラブ・ストーリーかと思ったらそうでもなかった。読み終わってみると意外にも真面目なパティシエの成長物語。一つの作品としてもう少し盛り上がりが欲しかった気がする。著者のHPを見て判ったのだが、近く続編が出版される由。山場はシリーズ第二巻で用意されているのかもしれない。本書の値踏みは第二巻を読んでからとしよう。むしろ上田氏の真贋はSF作品『華竜の宮』あるいは『火星ダーク・バラード』を読んでみないと語れないのだろう。姫路市在住作家、応援したい。
読了日:11月29日 著者:上田 早夕里

 


悪夢の商店街 (幻冬舎文庫)悪夢の商店街 (幻冬舎文庫)
相変わらずこのシリーズは楽しい。バカみたいに楽しい。読み始めるなり物語にぐいぐい引き込まれ、大団円まで一気読み。深い感動をおぼえる類の本ではない。主人公にそれなりの感情移入をしながら、はらはらドキドキを楽しむ。読後感は遊園地で思い切り遊んだ一日の終わりに「あー楽しかった」と呟く感じに似ている。半太氏の小説、大好きです。
読了日:11月29日 著者:木下 半太