佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

3月の読書メーター

3月の読書メーター

 


読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4185ページ
ナイス数:4321ナイス


 

3月は出張が多く電車の中で、通勤もバス通勤だったので読書三昧。けっこうたくさん読めました。「ビブリア古書堂」の二巻に加え、有川浩氏の「植物図鑑」「レインツリーの国」、高田郁氏の「みをつくし料理帖」と熱狂的読者の多い作品を読んだこともあって、ナイスを4321☆もいただきました。読書家ランキング(ナイス数順)も初めて上位50以内にランクイン。嬉しいことです。ナイス☆をくださった皆さんに感謝です。

 

http://book.akahoshitakuya.com/urank&s=n

 

 

 


Story Seller〈3〉 (新潮文庫)Story Seller〈3〉 (新潮文庫)
沢木耕太郎:私は女派かな。 近藤史恵:前2作に比べるともの足りず。しかし、ロードレース界の一つの現実か。 湊かなえ:好みに非ず。 有川浩:確かにATOKでは変換できず。 米澤穂信:人生というのはままならないことが多い。切ない。 佐藤友哉:セーラー服探偵萌え~ さだまさし:読まずに済まそうかと思った。『関白宣言』なんて歌うヤツの話、読みたかねーぜって。読み始めてやはり読まなければ良かったと後悔し始めた。しかしこの話、尻上がりに良くなるではないか。素敵なラストが用意されていました。
読了日:03月04日 著者:

 


二つ枕 (ちくま文庫)二つ枕 (ちくま文庫)
秀作でありんす。郭の幾分不健康だが甘酸っぱい空気、金抜きでは成り立たないが金だけではない虚々実々の関係、己に自堕落を許した生き方が浮世絵風の絵で描かれた漫画です。そこに描かれているのは「色」と「粋」。そして、それにひたすらのめり込む杉浦さんの耽溺ぶりが色濃くあらわれている。そう、人は好きな世界に耽溺してこそ、生まれてきた甲斐があろうというもの。2005年に満46歳で亡くなられた杉浦さんの内的世界を垣間見た思いがする。
読了日:03月04日 著者:杉浦 日向子

 


杉浦日向子の食・道・楽 (新潮文庫)杉浦日向子の食・道・楽 (新潮文庫)
「酒の呑み方七箇条」、御意にござりまする~。杉浦日向子氏に蕎麦屋での憩い方を教えていただき、酒を呑む時の心構えを諭していただいた今、これから老いを迎えようとする私の人生は、しみじみ味わいを深めていけるような予感がする。思えば齢五十を数えるまでは、椎名誠氏率いる「東ケト会」(東日本何でもケトばす会)に憬れ、いつか一員に加えてはいただけまいかと念願してきた。齢五十を少し過ぎた今、杉浦日向子氏が立ち上げられたという「ソ連」(ソバ屋好き連)の末席を汚させていただきたいと切に願う私である。
読了日:03月08日 著者:杉浦 日向子

 


ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
仮に特定の人種だけを選んで殺すことができる細菌兵器があるとすれば、それは極めて優秀な兵器となり得ましょう。本書は正にその細菌兵器です。細菌の名はビブリオ菌。ターゲットとなる人種は書痴。そうした人が本書を読み始めるやいなや、仕事であれ、勉強であれ、何らかの価値ある活動の一切は放棄され、ひたすらこの物語に没頭する。まさに書痴にとってのリーサル・ウェポンが本書です。そして読み手がたまたま男であった場合、たちまちのうちにヒロイン栞子に恋してしまうに違いないのだ。現に本書を読み終えた私の顔は熱くのぼせている。
読了日:03月09日 著者:三上 延

 


ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)
実は本屋の手違いでこちらが先に届いた。カバーがかかっていたのでタイトルをよく確認せずこちらから読み始めた。途中で気付いて第一巻を手に入れるまで読むのをやめようかと思ったがやめることができなかった。それほどまでにこの物語に、いや、栞子さんに魅了されていた。本書を読み終えるやいなや本屋に走り、第一巻~栞子さんと奇妙な客人たち~を手に入れ、読み始めた。二巻逆一気読み。第三巻はまだ発刊されていない。禁断症状緩和のため、せめて本の虫の女性主人公が登場するという『六の宮の姫君』(北村薫・著)を読むこととしよう。
読了日:03月10日 著者:三上 延

 


都と京 (新潮文庫)都と京 (新潮文庫)
京都と東京、二つの「みやこ」の文化比較、というか思い入れのほどを思いっ切り語った本。著者ご本人によると二つのみやこに対する愛の告白だそうです。著者の奥深い洞察を充分に分かったとは言い難いが、「わからん」→「わからへん」→「わかりまへん」→「わからしまへん」と分からない度合いが雅に活用していくほどには分かった。かな?  入江敦彦氏の著書『イケズの構造』をあわせて読むと京のおかしみがさらに深まるだろう。
読了日:03月11日 著者:酒井 順子

 


六の宮の姫君 (創元推理文庫)六の宮の姫君 (創元推理文庫)
もしも私が18歳の頃、大学進学に際して文学部を選んでいたら本や作家を巡るこのようにエキサイティングな日常を送ることができていたのだろうか? 答えはおそらくノーだ。二十歳前後の私ときたら本こそ読んでいたものの、そばにいてくれる異性を渇望していたのであり、それに比べれば芥川や菊池、谷崎に対する興味などまさに大海の一滴に過ぎなかっただろう。生まれ変わったら早稲田大学文学部に入って神保町をうろつきたい。この本を読むまでは京大に入って青龍会に入部し、吉田神社レナウン娘に合わせて踊りたいと思っていたのだけれど…汗。
読了日:03月13日 著者:北村 薫

 


植物図鑑植物図鑑
甘い、とにかく甘い。物語に出てくる食べ物のことではありません。野イチゴのジャムは甘いだろうが、それ以外は甘くない。フキノトウ苦い、セイヨウカラシナほろ苦い、ノビルは生で辛くゆでて甘い、タンポポ、クレソンほろ苦い。結論として食べ物はどちらかといえばほろ苦系である。しかし、物語はあま~いのだ。おそらく有坂氏の願望全開である。しっかり乙女ですね。ところでこの本は家の西側に置きましょう。風水で「西に甘いものを置くと金運が上がる」らしい。西はお金がやって来る方位で、実はお金というのは甘いものが大好きらしいのだ。
読了日:03月15日 著者:有川 浩

 


楽隊のうさぎ (新潮文庫)楽隊のうさぎ (新潮文庫)
私はブラバンどころか楽器すらやったことがない。もちろん音楽の時間にハーモニカやトライアングルを触る程度のことはあった。しかし私にも「思春期に少年から大人に変わる~♪」経験はある。男の子はいろいろな場面に男を試される。理不尽な攻撃にさらされたり、自分の力を超えているのではないかと思うような舞台に立つことを選んだとき、まさにキンタマが縮みあがるような思いをするのだ。それを乗り越えようとするのか、はたまたシッポを巻いて逃げるのか、大人のありようはそこで決まる。「シバの女王ベルキス」に挑んだ大団円。ブラボォ!!
読了日:03月17日 著者:中沢 けい

 


かもめ (岩波文庫)かもめ (岩波文庫)
北村薫氏の『六の宮の姫君』にチェーホフは《割れた壜》でいとも簡単に月夜を作ってしまうというくだりが書かれている。P136”堤防の上に割れたボトルの口がきらりと光り、水車の影が黒ずんでいた”とある。確かにすごい。しかし「月夜」という事象は誰にも明らかで、あれこれくどくど書かずとも画として読者の心に情景がうかぶだろうが、人間の行動や心の有り様というものはそれこそ人それぞれでつかみようが無い。そこを多く語らず、説明しない謎のままの戯曲にされても読者や観客は解釈に迷う。私には分からない。まことに困ったことです。
読了日:03月19日 著者:チェーホフ

 


魚舟・獣舟 (光文社文庫)魚舟・獣舟 (光文社文庫)
上田さんの御著書は『ラ・パティスリー』から読ませていただいたので、本書では全くの別人がお書きになったもののように感じた。いろいろな引き出しをお持ちのようです。どちらの上田さんが好きかと問われれば、今のところSFに一票といったところです。読者を作品世界に引き込む力はそうとうなもの。上田ワールドに遊ばせていただきました。上田さんは物語をいくらでも紡ぐことができる方なのでしょう。物語を読むだけの人としてはまことに羨ましく、尊敬と共に軽くジェラシーを感じます。
読了日:03月22日 著者:上田 早夕里

 


夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))
小松原様の行動はまさにノーブレス・オブリージュ。世間からの非難を覚悟の上で、周りの者すべてが上手くいくように配慮する。特に弱い者が傷つくことの無いように心を砕く。周りからの非難の目にも押しつぶされることなく、超然としていられるだけの心と力、両面の強さがあってこそこれができる。まさに高貴な者であるからこその行いだ。そして身分は低くとも澪の心も高潔そのもの。それにしても澪と小松原双方の高貴さが二人の将来に立ちはだかる大きな壁になろうとは皮肉としか言いようがない。それはそうと一年間は長いよぅ、高田さん。
読了日:03月23日 著者:高田 郁

 


レインツリーの国 (新潮文庫)レインツリーの国 (新潮文庫)
本がきっかけで知り合い、その人と自分と考えが合うことが判る。やがてその人を好きになる。その人のためになにかをしてあげたくなる。その人のための苦労が嬉しいと思うようになる。素敵なことじゃないですか。人を好きになるというただそれだけのことで、世界は昨日とは変わる。幸せがそこにある。人生はすばらしい。
読了日:03月26日 著者:有川 浩

 


ミノタウロス (講談社文庫)ミノタウロス (講談社文庫)
ミノタウロス。「ミノス王の牛」。牛頭人身の獣。太陽神ヘリオスの娘パシパエが雄牛と交わってできた罪の子。男を嬲り殺し、女を陵辱し快楽を貪る罪は、この生まれ故か。そして肺と頭蓋を銃弾に打ち貫かれた死もまた罪の報いなのか。ミノタウロスは主人公ヴァシリ・ペトローヴィチの運命のメタファー。読み終えた後、しばし放心しました。殺伐とした世界、甘さのかけらもない乾いた視線、事の本質を鋭くえぐるセンテンスの数々は圧倒的な力を持って私に迫ってきました。この物語が日本人によって書かれたということが信じられない思いです。
読了日:03月31日 著者:佐藤 亜紀