佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

清水の夜

 昨日は伊豆長岡から狩野川を下って清水町(柿田川)、そして再び鹿野川に戻り沼津港、そこからは駿河湾沿いをひたすら走り静岡市(合併して現在は静岡市清水区というらしい)に宿を取った。清水市に泊まるにはそれなりの目論見というモノがある。居酒屋である。「かねだ食堂」と「新生丸」。どちらも太田和彦氏の推奨する店だ。

 ホテルに入り、すぐにも出かけたかったが一日中自転車をこぎ汗だくだったので、風呂に入りさっぱりして出かけることにした。まずは「かねだ食堂」。本日は予約のお客様のみという店主のお詫びが戸口に貼ってある。そうか予約でいっぱいか、ならば仕方ないと「新生丸」に向かった。ガラガラっと戸を開けると中は押し合いへし合いといってよいほど客でいっぱいである。カウンターに一つだけ席が空いていたので店主に「ここイイ?」と尋ねると、店主は申し訳なさそうな顔で「7時に予約が入っているんですよ」という。時刻は6時半。三十分で追い出されてはたまらない。仕方なく別の店を探すことにした。

 

 

 初めての町なので、何も判らないままブラブラと歩いていると、良さそうな居酒屋(というより懐石料理屋)がある。店の外に置いてあるお品書きを見ると、焼き鳥が最初に書いてある。焼き鳥が基本なのかもしれない。せっかく海に近い町に来たので海のものがいいな、まあいいやと思いながら暖簾をくぐる。

 

 

 入って右手に小上がりの席、正面にカウンターがある。当然カウンターに席を占める。

 「冷やし豆腐と金目鯛の刺身、酒は喜平の冷酒をください」と注文するとお通しと酒がすぐに出てきた。

 

 

 

金目鯛の刺身

 

喜平はすっきりとしてほのかに甘みを感じる酒。なかなか良い。燗にした方が風味が出て良いかもしれないと「燗酒お願いします。それからやきとり、皮とつくねしそ巻きをください」と注文追加。燗酒はめずらしく正一合が入るグラス、下に杯受けが置いてあります。なみなみとついで杯受けに酒をあふれさせてくれます。イイではないですか。Good!ですよ。

 

 

焼き鳥もうまい。写真は「つくねのしそ巻き」。

 

 

あまりのおいしさにお酒をもう一杯追加し、「皮」をもう一度焼いてもらう。そして静岡に来たからにはおでんも食べねばと大根と鰯つみれを注文。静岡ということでおでんは黒いのが出てくるかと思いきや、意外に関西風のきれいなおでんでした。このあたりに料理屋の矜持を感じます。良い店でした。