佐々陽太朗の日記

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『へうげもの 三服』(山田芳裕・作/講談社文庫)

月さびよ・・・・・・

   明智が妻の・・・・・・

      咄(はなし)せむ

                    (三十二席「時代は変わる」より)

 

へうげもの 三服』(山田芳裕・作/講談社文庫)を読みました。

 

 

へうげもの 三服 (講談社文庫)

へうげもの 三服 (講談社文庫)

  • 作者:山田 芳裕
  • 発売日: 2011/05/13
  • メディア: 文庫
 

 

 

まずは出版社の紹介文を引きます。


信長の野望を挫いた光秀と秀吉は、大山崎で激突。武勲に燃える古田左介だが、その最中「本能寺」の真相を知らされ、武人としての限界を悟る。その後、天下人の座は秀吉に大きく傾く。遂に「わび」に果てた光秀と、新覇王秀吉の下で、「黒の革命」を誓う千宗易(せんのそうえき)。数奇の機運も転換点を迎える。異色大河漫画、文庫化第3弾。


 

 作者・山田芳裕氏にひとこと苦情を申し上げたい。石田三成がかっこわるすぎる。もっと格好良く描いていただきたかった。光秀は格好良く描かれていた。これは良し。さて、「三服」を読み終えて、やはり光秀の無念の最期に泪。そして、今や天下人になろうとする秀吉の孤独をひしひしと感じた。志を胸に大切なものと引き替えにひたすら突き進んだ男の非業の死と数寄者として剽げた者の生、さらに家康のごとくひたすら生き抜くことを考え己を殺した生き方を見るに、人としてどのように生きるべきか、自分はどう生きたいのかを考えさせられた。

「月さびよ 明智が妻の 咄(はなし)せむ」光秀が最期に詠んだかのような場面が第三十二席にある。芭蕉の句であり歴史的にあり得ない。本作が歴史の虚実織り交ぜて描かれていることをわきまえていなければ恥をかくので注意。