佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

謎解きはディナーのあとで 2

「失礼ながら、お嬢様は相変わらずアホでいらっしゃいますね。____いい意味で」

 

 麗子はグラスに残ったワインを一気に飲み干し、しばし気持ちを落ち着けた。

 なるほどなるほど、確かに影山は執事として格段の成長を遂げたようだ。実際、半年前の影山は、お嬢様のことを『アホ』呼ばわりしても、反省の色さえ見せず涼しい顔だったはず。それがどうだ。いまや、お嬢様の気持ちに配慮して、遠慮がちにではあるものの『いい意味で』とフォローするだけの分別を身につけている。素敵だ。この飛躍的な進歩は賞賛に値するかも___「って、ふざけんじゃないわよ、この暴言執事がぁ!」

                                (本書P50より)

 

謎解きはディナーのあとで2』(東川篤哉・著/小学館文庫)を読みました。

 

まずは裏表紙の紹介文を引きます。


立川駅近くの雑居ビルで殺された三十代の女性。七年間交際していた男は最近、重役の娘と付き合い始め、被害者に別れを切り出したようだ。しかし、唯一最大の容疑者であるその元恋人には完璧なアリバイが。困った麗子は影山に“アリバイ崩し”を要求する。その後も、湯船に浸かって全裸で死んでいた女性の部屋から帽子のコレクションが消える、雪のクリスマス・イブに密室殺人が起きる、黒髪をバッサリ切られた死体が発見されるなど、怪事件が続発!令嬢刑事と毒舌執事コンビのユーモアミステリ第二弾。書き下ろしショートショート『忠犬バトラーの推理?』収録。


 

 

 

間違いなく楽しめます。マンネリではあっても、お嬢様と毒舌執事の掛け合いがユーモラスで愉しい。物語の筋は判らなくても、読む前からそのテイストと、どの程度の満足感かは判っています。期待以上でも以下でもない、まさに期待どおりの質であるという意味で安心感があります。たとえて言うならCoCo壱番屋のカレーのような小説です。サプライズも感動もありませんが、期待に違わぬ味を提供してくれます。そして、一定の満足感が得られます。続編3も読むことになるでしょう。