佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー』(伊坂幸太郎・著/新潮社)を読みました。

 

ゴールデンスランバー (新潮文庫)

ゴールデンスランバー (新潮文庫)

 

 

 スゴイ! 伊坂さんスゴイよ。この圧倒的面白さ。こんな物語、ちょっとやそっとじゃ作れないよ。才能あるなぁ。うらやましいです。物語を紡ぐ才能だけじゃない。伊坂さんの小説を読んで感じるのは、きっと信頼できる人なんだろうなってこと。たとえば主人公の父・青柳平一の言動をみればわかります。青柳平一は「痴漢」が絶対に許せない。殺人より悪いと考えている。なぜなら人にはどうしても人を殺さざるを得ない事情というものが発生しうるが、どうしても痴漢行為に及ばざるを得ない事情などありえないから。
マスコミに対するものの見方も本質を突いている。ろくに調べずに息子を犯人と決めつけるマスコミに対して言い放ったこの一言。
「名乗らない、正義の味方のおまえたち、本当に雅春が犯人だと信じているのなら、賭けてみろ。金じゃねえぞ、何か自分の人生にとって大事なものを賭けろ。おまえたちは今、それだけのことをやっているんだ。俺たちの人生を勢いだけで潰す気だ。いいか、これがおまえたちの仕事だということは認める。仕事というのはそういうものだ。ただな、自分の仕事が他人の人生を台無しにするかもしれねえんだったら、覚悟はいるんだよ。バスの運転手も、ビルの設計士も、料理人もな、みんな最善の注意を払ってやってんだよ。なぜなら、他人の人生を背負ってるからだ。覚悟を持てよ」
まったくそのとおりです。無責任で軽佻浮薄なマスコミ野郎に聴かせてやりたい一言です。