佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

ふるさと銀河線 軌道春秋

勧 酒  (于武陵)

勧君金屈巵 コノサカヅキヲ受ケテクレ
満酌不須辞 ドウゾナミナミツガシテオクレ
花発多風雨 ハナニアラシノタトヘモアルゾ
人生足別離 「サヨナラ」ダケガ人生ダ

 

 

ふるさと銀河線 軌道春秋』(高田郁・著/双葉文庫)を読みました。

 

まずは出版社の紹介文を引きます。


ベストセラー「みをつくし料理帖」シリーズ、「銀二貫」の著者が、初めて現代の家族を舞台にした珠玉の短編集。
ふるさとへの愛と、夢への思いの間で揺れ動く少女が主人公の表題作をはじめ、
遠い遠い先にある幸福を信じ、苦難のなかで真の生き方を追い求める人びとの姿を、
美しい列車の風景を織りこみながら描いた感動的な9編を収録。

 


 

 

「さよならだけが人生ならば、また来る春はなんだろう はるかなはるかな地の果てに 咲いている野の百合何だろう」 確かに幸福が遠いときはある。確かに手に入れたと思った幸福もスルリと手からこぼれ落ちてしまうこともある。それでも幸福はいつか自分に寄り添ってくれると信じたい。スルリと手からこぼれ落ちた幸福も、せめて幸福であった瞬間のことは忘れないでいたい。「花発けば風雨多し」の喩えどおり、「サヨナラ」ダケガ人生ナラバ、どうか友よ、コノサカヅキヲ受ケテクレ。心からそう願う。

 

 

 

さよならだけが人生ならば また来る春は何だろう

はるかなはるかな地の果てに 咲いている野の百合何だろう 
さよならだけが人生ならば めぐり会う日は何だろう 
やさしいやさしい夕焼と ふたりの愛は何だろう 
さよならだけが人生ならば 建てた我が家はなんだろう 
さみしいさみしい平原に ともす灯りは何だろう

さよならだけが 人生ならば 
人生なんか いりません

                『幸福が遠すぎたら』(寺山修司