佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2014年5月の読書メーター

2014年5月の読書メーター

 

読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2497ページ
ナイス数:3009ナイス

 

5月は自転車通勤を復活したこともあって、読書量ががくんと落ちた。これまでバス通勤の往復で一時間半は読んでいたのだから、当然の結果である。健康維持、体力維持も大切なので致し方ない。
さて、5月は大崎梢氏、加納朋子氏の名著に出会えた。このことは僥倖といわねばなるまい。人の死なない日常のミステリは私好みの分野である。これを機会にお二人の著書を追いかけてみようと思う。日常のミステリとしては近藤史恵氏のレストランものを見つけた。これもシリーズとして文庫化されそうな気配である。当然、続編が発売されれば追いかけていくことになるだろう。好きなシリーズものが増えていくことはうれしいことではあるが、一方で困ったことでもある。一日は二十四時間、一年は365日しかない。すべてを読み尽くすには時間が少なすぎる。

タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)感想
持ち歩いていた本を読み切ってしまい、活字禁断症状から本屋に飛び込み、ふと手に取った一冊。『サクリファイス』をはじめとしたロードバイクが主題のミステリにぞっこん惚れ込んでいる私としては、近藤史恵氏の文庫を見ただけで手に取ったのはいうまでもない。ましてそれが食べ物にまつわる日常のミステリとくればなおさらだ。最初こそ物足りない気がしたが、どうしてどうして、じんわり胸が熱くなる良い短編ぞろいでした。おっと、『サヴァイヴ』も三日前に文庫発売になっているではないか。これも急いで読まねば。
読了日:5月31日 著者:近藤史恵

 


日本全国食べつくし! 極楽おいしい二泊三日 (文春文庫)日本全国食べつくし! 極楽おいしい二泊三日 (文春文庫)感想
二泊三日の旅をするとしたら、旅先で昼・夜・朝・昼・夜・朝・昼の食事にこだわりたい。この考えは全く正しい。酒にもこだわりたい。この考えはさらに正しい。尾道「しみず食堂」「朱華園」、阿倍野明治屋」、祇園「サンボア」、名古屋「あつた蓬莱軒」「いば昇」、本書で紹介された店で私が行ったことがある店はせいぜいこんなところで、ほとんどの店は未体験である。早速、未踏の店すべてのホームページをEvernoteに登録。死ぬまでにどれだけ行けるだろう。愛車ビアンキを携えて全国うまいもん食べ走り旅に出かける、これが私の夢・・・
読了日:5月30日 著者:さとなお

 


珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
面白くなくもない。などと中途半端な、しかも文法的に問題のありそうな感想を述べては作者の岡崎琢磨氏に非常に失礼なのだが、こと「3」に関してはそのような感想となった。「3」を読んでいるからには「1」「2」を読んで気に入っているという前提があるのだ。アオヤマの茶目っ気、美星の遠慮無いツッコミ、そして二人の間に漂う微妙な空気、そうしたものが今巻ではなりをひそめている。キメ言葉の「その謎、大変よく挽けました」もない。まるで印籠を持たない水戸黄門ではないか。シリーズとして読んでいるものとしてはちょっと残念でした。
読了日:5月29日 著者:岡崎琢磨

 


銀の匙 (岩波文庫)銀の匙 (岩波文庫)感想
作者の大人になるまでの心象風景がとりとめもなく延々と綴られるいわゆる「私小説」。告白を基本としており、たとえば伯母さんが無条件に自分を愛し、常に自分の側にたってくれたといった記憶を、思い出すまま細大漏らさず書き留めている。決して自分が「何かを失った」とか「壊れた」といった破滅型心象を描いていないところが好ましい。とはいってもいささかの自己憐憫を交えて書いてはいるのだが、このあたりは決して嫌みに感じられない程度の味わいと言ってよいだろう。幼い頃のことをこれほどのみずみずしさで克明に覚えていることに驚嘆。
読了日:5月26日 著者:中勘助

 


ななつのこ (創元推理文庫)ななつのこ (創元推理文庫)感想
初・加納朋子さんです。厳密に言うとアンソロジーで短編「ささらさや」を読んだことがあるのでセカンドかもしれないが。「ささらさや」がとてもよかったのでずっと気になっていた作家さんです。ものすごくよかったです。心から良い本に出会ったと言えます。いつの間にか日常の謎に心惹かれ作品世界にひきこまれている。しかもその世界は何ともなつかしく、あたたかく、せつなくもある快いところなのだ。誰かから「あなたのお薦めの本は何ですか?」と訪ねられたら、きっとこの本をそのうちの一つに揚げると思う。
読了日:5月17日 著者:加納朋子

 


変見自在 サンデルよ、「正義」を教えよう変見自在 サンデルよ、「正義」を教えよう感想
いつもながら髙山氏の「変見自在」は痛快です。訳知り顔の学者や左翼系新聞をバッサリ。自分たちのしてきたことは棚に上げて、有色人種をそれこそ色眼鏡で見る欧米の欺瞞を暴く。中韓の品性のなさを鋭く指摘。我々がマスコミ報道で知らされてきたことには、実は別の側面や裏があって、我々が正しいと信じていることは実は間違っている、などなど・・・。もちろん髙山氏の言うことにも間違いやウソは含まれているのだろう。しかし戦後、日本人が鵜呑みにしてきた(そう仕向けられた?)ことは本当に公正なのだろうかと疑問を持つことは大切だろう。
読了日:5月7日 著者:高山正之

 


背表紙は歌う (創元推理文庫)背表紙は歌う (創元推理文庫)感想
巻末に「取次にも愛を!」という文章を寄せていらっしゃる日本出版販売(?)の古幡瑞穂さんによると、「今、日本国内には約1万3千軒の書店と4万軒以上のコンビニエンスストアがあり、出版社は約4千社あると言われている。そして毎日毎日新しく200点の書籍と200点の雑誌が発行され、我が社だけでも100万冊の既刊書籍が流通している」とのこと。そうか、本業界の要となっておるのだな。素晴らしい仕事ではないか! 感謝するぞ、取次! ガンバレ、取次! 取次に愛を! 行きつけの書店のカワイイ書店員さんに神の祝福を!(笑)
読了日:5月6日 著者:大崎梢

 


災いの古書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)災いの古書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
大好きな古書にまつわるミステリ「クリフォード・ジェーンウェイ・シリーズ」第四弾。やっぱりええわ、このシリーズ。五五〇ページ近い長編も、物語に引き込まれて時間を忘れて没頭してしまいました。今巻も意外な結末に驚き、ミステリとしてレベルが高い。しかし、このシリーズの味わいは物語すべてに漂うビブリオマニアの雰囲気。私のような書痴にとって、こうした世界に彷徨えるひとときは堪らなく魅力的です。次作『愛書家の死』も既に購入済み。本棚で私の手に取られる時を今か今かと待ち受けている。他にも読みたい本がある故しばし待て。
読了日:5月4日 著者:ジョンダニング