佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

8月の読書メーター

2014年8月の読書メーター

 

読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4393ページ
ナイス数:3215ナイス

 

先月はなんと言っても高田郁さんの「みをつくし料理帖」シリーズの完結編『天の梯』を読んだこと。5年間、このシリーズを追い続け、澪の幸せを願い続けただけに感慨深い。また、近藤史恵さんの「女清掃員探偵・キリコ」シリーズを読み始めた。またひとつお気に入りのシリーズが出来た。

猫のいる日々: 〈新装版〉 (徳間文庫)猫のいる日々: 〈新装版〉 (徳間文庫)感想
近藤史恵『モップの魔女は呪文を知っている』に収録された「愛しの王女様」(スコティッシュフォールドの子猫に一目惚れする女子大生の話)を読んだ後、本屋に行くと、たまたま猫にまつわる本を特集していた。不思議な縁を感じ初・大佛次郎として本書を読むこととなった。そして本書を持ち歩き訪れた池田20世紀美術館では河野里枝氏の「水族館に猫たちいり禁止」を鑑賞。このところ猫づいている。本書を読んで、猫の良いところは「人に媚びず、心に染まないことは決してしない気概と美しさをもつ」ことにあるのだということがよくわかりました。
読了日:8月30日 著者:大佛次郎


モップの魔女は呪文を知ってる (実業之日本社文庫)モップの魔女は呪文を知ってる (実業之日本社文庫)感想
このシリーズ、どんどん良くなっていますねぇ。深刻な問題もキリコのキャラクターでちょっぴりほっこり幸せに。救いがあります。キリコちゃん、ほんまにええ子や。惚れてまうやろ~WWW  蛇足ですが、新幹線の中で本書を読み切ってしまい活字禁断症状に。駅の改札をでて血眼になって本屋を探しました。見つけた本屋では猫特集をやっていました。ちょっとした奇縁を感じた次第。大佛次郎の『猫のいる日々』を購入。ひょっとして愛しの王女様に会えるか?
読了日:8月29日 著者:近藤史恵


モップの精は深夜に現れる (文春文庫)モップの精は深夜に現れる (文春文庫)感想
「女清掃員探偵・キリコ・シリーズ」第2作である。第1作『天使はモップを持って』を読んで、すっかりキリコに魅了されてしまった私だが、本作を読んでさらにキリコ・ファンになってしまった。いや、惚れたと言っても過言ではない。ちなみに私は掃除が苦手である。たまに厨房に入って家事をする夫を気取っているが、掃除はほとんどした事がない。つれ合いに頼りっきりである。つれ合いのおかげでトイレや水まわりはいつも綺麗で心地よい。そんな嫌なことを当たり前にしてしまうつれ合いに対し海より深く感謝し、山より高く尊敬するものであるWWW
読了日:8月27日 著者:近藤史恵


天使はモップを持って (文春文庫)天使はモップを持って (文春文庫)感想
サクリファイス』『エデン』『サヴァイブ』とロードレースものが素晴らしすぎてなかなか他の作品に手がでなかったのだが、先日『タルト・タタンの夢』を読んだのを機に他の作品も読むことにした。「モップの天使・シリーズ」もお気に入りになりそうです。どんな仕事も心を込めてやれば特別なものになる。その域に到達するには根気が必要だが、そこまで時間と労力をかけるからこそ、その仕事は他の人のものとは違う輝きを持つ。掃除が楽しい、それも他人が使うスペースを楽しんで、しかも心を込めて出来るなんて、それこそ天使の仕業ではないか。
読了日:8月24日 著者:近藤史恵


にっぽん・海風魚旅(3) 小魚びゅんびゅん荒波編 (講談社文庫)にっぽん・海風魚旅(3) 小魚びゅんびゅん荒波編 (講談社文庫)感想
八丈島クルーズの復路、船のベランダで読んだ。船が海を滑るように進む中、海の風を受けながらの読書。もちろん缶ビールを飲みながらである。シーナさんの紀行文は構えていないところがイイ。シーナさんの旅は房総、北海道、小笠原、薩摩、駿河と各地のうまいもんを食べながらすすむ。シーナさんは「一番かよった情け島」と題して、八丈島を〆に持ってきている。シーナさんの島への思い入れが感じられる。海風がまことに心地よい。
読了日:8月22日 著者:椎名誠

 


何もなくて豊かな島―南海の小島カオハガンに暮らす (新潮文庫)何もなくて豊かな島―南海の小島カオハガンに暮らす (新潮文庫)感想
「何もなくて豊かな島」とは「何もないからこそ豊かな島」なのであった。天気が良いから、あるいは悪いから、誰かが訪ねてきたから、ぶらりと歩いていたら誰かに会ったから、何かを目的として計画的に動くのではなく、その日その日の自然の「ゆらぎ」に身を任せてしまう。何もしない、何も考えない。もちろん約束などしない。本当に必要なものしか持たない。そんな幸せのかたちがあることを私は知らなかった。知ってしまったからと云って、どうなるものでもない。しかし私の中で何かが変わってしまったのは確かだ。
読了日:8月22日 著者:崎山克彦


パワハラ・いじめ職場内解決の実践的手法―放っておくと会社の責任!パワハラ・いじめ職場内解決の実践的手法―放っておくと会社の責任!感想
厚労省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」の報告書に忠実なかたちでパワハラとは何か、パワハラを予防するためにどうすべきか、あるいは職場内で起こってしまったパワハラにどう対処するかを解説した真面目な真面目な本です。その真面目さは日本法令さんの出版物らしいといえる。とはいえ、セクハラ、パワハラに関係して飯を食っていることに対するある種の嫌悪感、それ以前に円卓会議そのものに懐疑心を持ってしまう私は前近代的な人間なのでしょうか。このようなことをいちいち問題にする昨今の風潮に辟易するのは私だけだろうか。
読了日:8月19日 著者:金子雅臣


それ、パワハラです 何がアウトで、何がセーフか (光文社新書)それ、パワハラです 何がアウトで、何がセーフか (光文社新書)感想
パワハラや退職勧奨を受けたとする労働者側にたった解説。副題に「何がアウトで、何がセーフか」とあったので、そのあたりの解説が読みたかったのだが、著者の立ち位置として労働者側に立ってしまっては「アウト」ばかりとなり、そのあたりを論ずるのは無理というもの。だからといって、本書に書かれていることが間違っているわけではない。このような見方があることは経営者側として十分知っておくべきだろう。とはいえ、あまり参考にならなかったというのが率直な感想。
読了日:8月17日 著者:笹山尚人

 


強育論 -悩める大人たちに告ぐ!「いじめの芽を摘む」特効薬強育論 -悩める大人たちに告ぐ!「いじめの芽を摘む」特効薬感想
力は正義、体罰容認、平等は弱者の論理と、見方が偏っていると見る人は多いのかも知れないが、それは全くの誤解だ。現実をありのままに視て、それにどう対処するかを現場として素直に考えれば、答えは自ずと野々村氏の主張にかさなる。それを間違いだとする人こそ偏っているのである。現場を視ずに机上の空論を展開する無責任な評論家はどこにでもいる。この種の輩は、家に強盗が押し入り、財産を強奪され、今にも妻が犯されようとしているのに「あなたの行為は間違っています」などと説く”たわけ”です。この場合、命に代えても家族を守るべし。
読了日:8月16日 著者:野々村直通


ひとなつの。 真夏に読みたい五つの物語 (角川文庫)ひとなつの。 真夏に読みたい五つの物語 (角川文庫)感想
森見登美彦大島真寿美、椰月美智子、瀧羽麻子藤谷治、五人の作家が描く夏の刹那。森見氏の『郵便少年』は「ほっと文庫」で既読であった。再読となったが、やはり良い。五人の中で抜きん出ている。文章も、物語の世界観も、読後感も最高だ。森見氏の前に他はかすんでしまった感があるものの、その中でも瀧羽麻子氏の『真夏の動物園』、藤谷治の『ささくれ紀行』はよかった。読んだ刹那、私にも経験のある若き頃のモヤモヤした夏の空気が蘇った気がした。
読了日:8月15日 著者:森見登美彦,瀧羽麻子,大島真寿美,藤谷治,椰月美智子


天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)感想
本当に終わってしまったのだなぁ・・・ 五年間、計10刊プラス1。旭日昇天、雲外蒼天の人生を見極めたくて、二人の幸せを心から願いながら読み続けた。とうとう完結の時が来た。否。二人の人生はここから新しく始まるのではないか? そのあたり、高田さんは「それぞれのその後を一冊にまとめて、特別刊として刊行させて頂く」と仰っている。ひとまずは”So long!”と言っておきますが、そんなに長く待たせないで欲しい。”It's been such a long time.”と言える日を首を長くして待ちましょう。
読了日:8月15日 著者:高田郁


セカンドウィンド 3セカンドウィンド 3感想
このところロードバイクに乗れず気分がスッキリしない。フラストレーションを如何せんと本書を手に取った。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと読んできて、主人公・溝口洋の成長ぶりをしみじみと感じる。まるで自分の息子の成長ぶりを見るようだ。ロードレースものとして、青春小説として極上の小説だ。身体は風雨に閉じ込められながらも、心は小説世界に飛び込んでヒートアップした。フォルツァ! 自分の身体を極限まで痛めつけて登り走り続ける感覚に熱くなった心とは裏腹に鳥肌が立つ。洋、そして岳よ、次はヨーロッパでの走りを見せてくれ。フォルツァ!!
読了日:8月10日 著者:川西蘭


ポニーテール (新潮文庫)ポニーテール (新潮文庫)感想
切なさ一二〇%。いつものことではあるけれど、重松氏にはこの度も泣かされました。人生は思うようにならない。こんなふうになりたいと心から願っても、神様は意地悪で時には一番大切にしているものすら奪ってしまう。手の中にあった幸せはちょっとしたことでその手をすり抜けてしまう。それでも、心の底から幸せを希えば、それも周りの人を大切に思うかたちで希求するならば、また別の幸せがそこに現れる。「これでよかった。今が一番幸せだ」そう信じることが出来る。重松氏の小説は幸せを希う祈りだ。
読了日:8月9日 著者:重松清


あすなろ三三七拍子(下) (講談社文庫)あすなろ三三七拍子(下) (講談社文庫)感想
学生の頃、武道系の部に身を置いた私にとって、重松氏の描く応援団の世界は気分としてよくわかる。もちろんズバリ同質ではないのだが。理由も目的もなくとにかくやる。ひたすら頑張る。それが当たり前に出来るようになったとき、いや、当たり前も何も余計なことを考えることがなくなったときに到達している境地があるのだ。武道系の部の合宿は外から見ればしごきだ。理屈はそうだ。おそらく周りからは冷ややかな目で見られることだろう。しかし一度とことんまでそれをやってみるがいい。理に背いても情に適うこころよい世界がそこにはあるはずだ。
読了日:8月2日 著者:重松清

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