佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2014年9月の読書メーター

2014年9月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:2548ページ
ナイス数:2384ナイス

 

 先月の始めに朝日新聞池上彰氏の月に一度の連載『新聞ななめ読み』の掲載を取り止め、それに対して池上氏が連載打ち切りを朝日に伝えたことが明らかになり、そのことをきっかけとして朝日新聞の体質が改めて議論の的になった。池上氏が慰安婦報道検証を取り上げて、『朝日は謝罪すべきだ』という記述があったことが原因らしい。世間から大ブーイングを受けただけでなく、自社社員からも非難されるに至って、一連の対応を謝罪し掲載することとしたようだが、従軍慰安婦関係の誤報と東電社員の命令違反撤退関係の誤報に関しては反省も謝罪も一切無いことが明らかになっている。国の名誉、東電社員の名誉をねつ造記事で貶めても全く反省するところが見えないどころか開き直っている姿に「これが日本を代表する新聞の見識か」と怒りを通り越して呆れるばかりです。そんなこんなで普段は買うことも読むこともない週刊誌の記事を遡って読んでいっています。そしてこれらの号は保存し忘れないでいようと考えています。

 普段読むことがないといえば絵本もそうですが、佐野洋子氏の絵本『100万回生きたねこ』も読みました。いりいろ考えさせられるところが多かった。

 先月、特に印象に残った言葉を二つ。

 

  『いつ死んでもいい。でも今でなくていい』佐野洋子「神も仏もありませぬ」より)

 

  『どんなエラジンさんになっても、人間の情をなくすような者はほんまのエラジンさんとは違う。

   金の話をするときは、恥ずかしい顔をせえ。

   自分の都合を言うときはつらそうな顔になれ。

   身内を・・・身内を捨てるときは涙のひとつも流せえ」』重松清みんなのうた」より)

 


週刊文春 2014年 9/4号 [雑誌]週刊文春 2014年 9/4号 [雑誌]感想
朝日新聞が新聞広告を掲載拒否した号。「朝日新聞売国のDNA」とある。この号の発売日と池上彰氏のコラム掲載を断った時期が同じ。そりゃぁ、自紙を非難するものなど載せたくはないだろう。しかし、拒否したら朝日の狭量さを露呈するだけだと気づかないところがなんとも救いようのない話。朝日出身の故・筑紫哲也氏は1996年3月25日、メインキャスターを務めていたTBSの看板番組「NEWS23」の冒頭で(オウム真理教坂本弁護士殺害事件がらみの不祥事について)「TBSは今日、死んだに等しいと思います」とやったんだぜ。
読了日:9月30日 著者:

 


週刊文春 2014年 9/18号 [雑誌]週刊文春 2014年 9/18号 [雑誌]感想
普段は雑誌を買わない私も一連の朝日新聞追求記事だけは押さえておくべきと購入して読んだ。今号が追及記事として第四弾(?)であるらしい。既刊号についても購入するつもりであることは云うまでもない。雑誌であっても永久保存版と考えている。
読了日:9月28日 著者:

 

 

 

 


週刊新潮 2014年 9/18号 [雑誌]週刊新潮 2014年 9/18号 [雑誌]感想
週刊新潮9月18日菊咲月増大号』を読む。私は雑誌をほとんど読まない。床屋や医者の待合で読む程度のことだ。したがって滅多に雑誌を買わない。しかし、この号は別である。”続・おごる「朝日」は久しからず”という特集記事。これは読まないわけにいくまい。ん? ”続”ということは前の号にも記事があるのか。前の号も買わねばなるまい。保存版である。髙山正之氏のコラム『変見自在』も相変わらずすばらしい。佐藤優氏&西原理恵子氏の週間鳥頭ニュースも面白い。加えて「たばこ屋のシバちゃん」カワイイではないか。
読了日:9月28日 著者:

 


地を這う祈り地を這う祈り感想
私は世界にこのような現実があることを知っている。しかし見ないようにしている。直視したくないのだ。見たところでどうなるというのだろう。毎年、ユニセフやワールドビジョンにささやかな寄付をする。しかし、それでいったい何か変わるというのか。大海の一滴、空しいだけ。自分の気持ちに折り合いをつけるためのごまかしに過ぎない。この世は地を這う祈りで満ちている。祈りはけっして神に届きはしない。神様だってそんなに沢山の祈りに応えられはしない。神も仏もあるものか。
読了日:9月26日 著者:石井光太

 


週末バンコクでちょっと脱力 (朝日文庫)週末バンコクでちょっと脱力 (朝日文庫)感想
『週末バンコクでちょっと脱力』(下川裕治・著、阿部稔哉・写真/朝日文庫)を読了。 中級者向きロングステイのためのホテルの案内は参考にしたい。巻末にバンコク在住者の寄稿がある。これがなかなか興味深い。やはり市場の活気がイイ。メークローン駅にあるタラート・ロムフーブ(折りたたみ傘市場)は行ったが、百年市場には行っていない。ここはぜひ訪れてみたい。ありきたりだがマンダリンオリエンタルホテルには一度泊まってみるべきかな。持って行く本は『サヨナライツカ』だな。
読了日:9月25日 著者:下川裕治

 


神も仏もありませぬ (ちくま文庫)神も仏もありませぬ (ちくま文庫)感想
『神も仏もありませぬ』(佐野洋子・著/ちくま文庫)を読了。 『100万回生きたねこ』では「死ねない」ということについて考えた。このエッセイでは「死に方」について考えさせられました。なるほど、どう生きるかを考えることはどう死ぬかを考えることにつながるのか。多くを語る必要はない。「いつ死んでもいい。でも今でなくていい」 この一言に尽きる。そろそろ私も「死に方」について考えるべき歳だ。
読了日:9月23日 著者:佐野洋子

 

 


モップの精と二匹のアルマジロ (実業之日本社文庫)モップの精と二匹のアルマジロ (実業之日本社文庫)感想
清掃作業員探偵キリコ・シリーズ第4弾。ヤマアラシ・ジレンマは知っていたが、アルマジロとは。今作はキリコの視点ではなく大介の視点で描かれている。しかも長編、さすがはプロです、近藤さん。おそらくは人気シリーズの企画として出版社から持ち込まれた依頼で書かれたのでしょう。充分楽しませていただきました。衝撃的な事件があるわけでも涙を流すような感動があるわけでもありません。深刻なテーマを扱ってはいるものの、テイストはあくまで軽く、読後感はじわっと心があたたかくなっている。そんなミステリです。好きだなぁ、そんな感覚。
読了日:9月21日 著者:近藤史恵

 


100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)感想
ちょっと泣いてしまいました。
読了日:9月19日 著者:佐野洋子

 

 

 


宙(そら)の旅宙(そら)の旅感想
美しい本です。著者である天体写真家・林完次氏によると夜空の星がそろって瞬きをする瞬間があるそうな。その瞬間は「一〇〇万もの鈴が一度に鳴ったようにも思えるし、夜空という大きなまぶたがまばたきしたようにも見える」とのこと。すばらしい! 筑波山から見る夏の大三角(デネブ、ベガ、アルタイル)を流れる天の川、北十字白鳥座)のなんと美しいことか・・・ 今夜は久しぶりに夜空を見上げてみるか、と思ったら天気が下り坂。しばらくはおあずけです。
読了日:9月19日 著者:林完次

 


作家の家 (コロナ・ブックス)作家の家 (コロナ・ブックス)感想
コロナ・ブックスの作家シリーズ。『作家の酒』、『作家の食卓』と読んできたが、作家の家も興味深い。家にはその作家の性質がでる。書斎の佇まい、愛用した小物、机、椅子、そうしたものが頁をめくるごとに私の目を捕らえて放さない。素敵な本です。次は『作家の猫』にするか『作家のおやつ』にするか、思案中である。
読了日:9月15日 著者:

 

 


京都読書空間 (act books)京都読書空間 (act books)感想
京都を旅する中で持ち歩き。森毅氏の快食快便読書術に激しく同意。氏曰く「”教養”を得るために読書をするとかいうことを耳にするけれど、読書の目的は、本を読むこと以外の何ものでもありません。知識や教養を得ようなど、何かを目的にしても仕方ない。結局は自分の身の丈に合ったものしか身につかないし、疲れるだけ」 さすが透徹した見方をしていらっしゃる。行ってみたい書店は下京区西木屋町のバー「図書館」、中京区寺町通りの「三月書房」。次に挙とを訪れたときはロードバイクで書店巡りってのもありかな。
読了日:9月14日 著者:

 


いなくなれ、群青 (新潮文庫)いなくなれ、群青 (新潮文庫)感想
河野氏の小説を初めて読む。なんだか肩に力の入った題名。その題名の意味がわかったとき、私の胸は温かく満たされた。ピストルスター、その気高き光を無くさずにすむのなら、その光は僕を照らす必要はない。人は本当に美しく気高いものを守るためなら、自分の存在を賭すことができる。トランプゲームで相手に勝ちを譲ってしまう小学二年の少年、どこまでも真っ直ぐ、正しいことの正しさを信じている高校一年生の少女、どこまでも悲観的で常にあきらめることを受け入れる高校一年生の僕、若さは不完全で危ういけれど、切ないほどに素敵だ。
読了日:9月14日 著者:河野裕

 


日本の美術館 ベスト250完全案内 (ぴあMOOK)日本の美術館 ベスト250完全案内 (ぴあMOOK)感想
122頁で250の美術館を紹介しようというのは、やはり無理ですな。内容が薄くなってしまいます。とはいえ、こんな美術館があったのかと発見できたことはよかった。強く感じるのは東京あるいは東京近郊の充実ぶり。うらやましい限りです。そんななか異彩を放つのは瀬戸内の島々にある美術館。すでに訪れたところも多いが、何度でも行きたいと思わせてくれる。
読了日:9月7日 著者:

 


みんなのうた (角川文庫)みんなのうた (角川文庫)感想
こころ優しゅう生きることとエラジン(偉人)さんになるゆうんは違うんかのう。こころ優しゅう生きとる人はなんで哀しゅう見えるんかのう。みんながおたがいのことを気にかけて生きるゆうことは煩わしいことなんやろか。それを煩わしいと感じるのは強いもんなんか? エラジンさんはほんまに強いんか? 寂しゅうなること、哀しゅうなることはないんか? 服部のおじいさん、おばあさん、がんばってな。サブちゃん、痛いんか? みんな応援しとるで。
読了日:9月6日 著者:重松清

 


ザ・万遊記 (集英社文庫)ザ・万遊記 (集英社文庫)感想
万太郎はサッカーが好きである。万太郎のDNAは関西人である。万太郎は教育的配慮で改竄されたアニメ版「小公女」に心から怒っている。万太郎はどこまでも地味な男を最高に輝かせてしまう司馬遼太郎が好きである。と同時にまた波瀾に富んだ人生を淡々と、およそ「面白く書く」という意図が全く感じられない井上靖を愛読する。万太郎は『渡辺篤史の建もの探訪』を熱心に視聴する。その視聴姿勢はほとんど偏愛と言って良い。万太郎は北朝鮮、もとい、朝鮮民主主義人民共和国をかなり嫌いになりかけた。しかし、今はちょっぴり好きになっている。
読了日:9月5日 著者:万城目学