佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

海賊とよばれた男

海賊とよばれた男(上・下)』(百田尚樹:著/講談社文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。


一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。 


敵は七人の魔女、待ち構えるのは英国海軍。ホルムズ海峡を突破せよ!戦後、国際石油カルテルセブン・シスターズ」に蹂躙される日本。内外の敵に包囲され窮地に陥った鐡造は乾坤一擲の勝負に出る。それは大英帝国に経済封鎖されたイランにタンカーを派遣すること。世界が驚倒した「日章丸事件」の真実。


 

海賊とよばれた男 文庫 (上)(下)セット
 

 

 

 白人に隷属し、白人に資源を提供すべき国とみなされていた近代アジアにあって、気骨と誇り高い経営理念を持って世界に挑んだ経営者・出光佐三氏の物語を読み、眼に涙が溢れ、心には力が漲る思いであった。白人支配が強い世界の中にあって、決して強い者におもねることなく、卑屈にならず、日本人としての矜持を胸に敢然と世界に挑んだ経営者の生き様を私は深く胸に刻み込みました。私にとって『鼠』(城山三郎)、『お家さん』(玉岡かおる)に記された鈴木商店の大番頭・金子直吉氏と本書の出光佐三氏のお二人は尊敬する経営者です。
 経営者として必要なことは理念と明確なビジョンを持つこと。その理念は広く国や世間の為になるものでなくてはならないこと。その意味で商売は「黄金の奴隷たるなかれ」を旨とすべしということか。素晴らしい生き様を読ませていただきました。仕事で多少の障壁があっても何とかなる、頑張ろうという気になりました。そして日本人に生まれたことを誇りに思うことが出来ました。このようなかたちで出光佐三の生涯を小説にしてくださった百田尚樹氏に感謝したい。

 出光佐三氏の著書『マルクスが日本に生まれていたら』と『日本人にかえれ』を発注しました。読むのが楽しみです。