佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

at Home

『at Home』(本多孝好:著/角川文庫)を読み終えた。
 
まずは出版社の紹介文を引きます。

父は泥棒、母は結婚詐欺師。僕はパスポート偽造屋で働いており、弟はゲームの中で世界を救ってばかりいる。一家はそれなりに平和に暮らしていたが、ある日、母が結婚詐欺のターゲットに逆に誘拐されてしまう。犯人に呼び出された父と僕は、偽札が詰まった紙袋を持って母を助けに向かうが―。巧妙な伏線が張り巡らされ、驚きと涙なくしては読めない結末を迎える表題作を始め、現代の家族のかたちを描ききった傑作小説集。

 
 
家族四景。ドライな語り口に、所々ユーモアを交えながらも本質は結構ウェット。読み進めるにつれズシンと堪えた。家族ってのはやっぱり人が生きていくうえでの基本なんだよなぁ。でもその家族ってのが案外もろいものなのだ。だってそれを構成する人がもろいのだから。人生はやり直しがきかない。一度壊れたものは、二度と元どおりにはならない。元に戻らないながらも何とかしようとするしかない。人生は祈りに似ている。「日曜日のヤドカリ」は『Story Seller2』に収録されていたので読むのは二度目。やはりこれば名作だと確認。