佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2015年1月の読書メーター

 

2015年1月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:5802ページ
ナイス数:3265ナイス

 

藤沢周平『三屋清左衛門残日録』が滅法よかった。矢崎在美『ぶたぶた』をはじめとする「ぶたぶたシリーズ」は初めて読んだのだが、なかなか良い。今後、シリーズを通読することになるだろう。



バケツでごはん (7) (Big spirits comics special)バケツでごはん (7) (Big spirits comics special)感想
不器用で自意識過剰でギクシャクした恋。微笑ましいですね。恋に慣れてそうなチェザーレが一番恋に不器用だったりして・・・。小雪とはどうなるのか、最終巻⑧が楽しみです。
読了日:1月1日 著者:玖保キリコ

 

 

 

 


バケツでごはん (8) (Big spirits comics special)バケツでごはん (8) (Big spirits comics special)感想

チェザーレのフルネームは「チェザーレ・スカタン」だったのか。忘れていた。それにしてもチェザーレのええかっこしいは筋金入りやな。人からどう見られるかばかり気にして、本当の自分を見失いがち。小雪ちゃんに出会ったことで、そんな自分ともおさらばだ。チェザーレよ、良い伴侶に巡り逢えて良かったな。小雪ちゃんと一緒ならきっと倖せになれる。おめでとう。おっと、ギンペーもおめでとう。
読了日:1月1日 著者:玖保キリコ

 

 

黒衣の花嫁 (1983年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)黒衣の花嫁 (1983年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
私のコーネル・ウールリッチ(=ウィリアム・アイリッシュ)の傑作上位3作は①『喪服のランデヴー』、②『暁の死線』、③『幻の女』で変わらず。『黒衣の花嫁』は惜しいところで4位となった。主人公が絶世の美女ではあるのだが、心理描写がないこともあって、魅力が薄いのである。主人公の心にある復讐の動機がハッキリしないので、どうも主人公の心情に思い入れ出来ないのだ。まあ、この復讐の動機自体が本作の肝であるためやむを得ないのではあるが・・・。とはいえ、本書も傑作の一つに挙げて良いだろう。
読了日:1月3日 著者:コーネル・ウールリッチ


変見自在 日本よ、カダフィ大佐に学べ変見自在 日本よ、カダフィ大佐に学べ感想
相変わらず小気味良いコラムである。世界がいかに底意地の悪い白人に牛耳られてきたか、日本人がいかに欧米のイメージ戦略に騙され続けているかがよくわかります。民主主義の幻想を盲目的に正しいものと信じ込み、マスコミ、とりわけ新聞で報道されることが真実だと思い込んでいることがいかに無知で危ういことか。我々はたとえばサダム・フセインカダフィー大佐についてまわる悪のイメージ、アウンサンスーチー女史の善のイメージが真実なのかどうかを、与えられたイメージではなく事実を基に判断する必要があるだろう。
読了日:1月4日 著者:高山正之


やくざ監督と呼ばれて ~山陰のピカソ・野々村直通一代記やくざ監督と呼ばれて ~山陰のピカソ・野々村直通一代記感想
マスコミは報道するとき、必ずしも事実を伝えない。事実の一部を切り取って伝える。意図的に一方の事実を隠して伝えることもある。しばしばその事実に色をつけて伝える。たまに脚色の範囲を超えてウソも書く。(これは朝日に顕著だ) そして報道の対象が権力、大会社、有名人、成功者である場合、悪意をもって報道することを常としている。これはマスコミの偏執的悪癖といえるが、ほとんど病気である。野々村氏に直接会ってたとえ5分でも話をしてみれば、野々村氏が真っ当な方だとわかるはずだ。左翼崩れのマスコミ人には理解できないでしょうが。
読了日:1月4日 著者:野々村直通


銀翼のイカロス銀翼のイカロス感想
巻末の「この物語はフィクションであり、云々」の言葉におもわず失笑してしまう。この物語のモデルは明らかに存在する。再生を進める航空会社、再生タスクフォースなる機関を作りその作業にあたらせる政権交代したばかりの政党、たいした見識も無いのに舌鋒スルドイ女性議員。どうやら池井戸氏はよほど某政党の所行に業を煮やしていらっしゃったに違いない。物語の終盤に富岡が中野渡頭取に謂う言葉が印象的だった。「法律以前に守るべき人の道ってのがあるはずでしょう。まっとうな商売してなんぼですよ」 企業人として肝に銘ずべき言葉だろう。
読了日:1月5日 著者:池井戸潤


てるてるあした (幻冬舎文庫)てるてるあした (幻冬舎文庫)感想
人生とは何か。生まれてきたこと、生きることの意味はなんだろう。詩人・寺山修司氏は「さよならだけが人生ならば また来る春は何だろう」と詠んだ。この小説に一つの答えがあるのではないか。自分が周りを思いやり、周りが自分を気にかけてくれるならば、人はどのような状況であろうと希望を捨てることはない。魂が揺さぶられるような生き方が出来る。人一人の人生など無限の宇宙、悠久の時の中で何の意味も持たないかもしれない。しかし、人は心温まり、魂が揺さぶられるものを求めている。それが生きるということなのだと。
読了日:1月7日 著者:加納朋子


その女アレックス (文春文庫)その女アレックス (文春文庫)感想
たしかに2014年のベスト・ミステリーとの読者評を得るのも頷ける。「このミステリーがすごい!」の第1位を獲得するにふさわしい小説といえる。とにかく「すごい」のだから。(ここからはネタバレ注意!)しかし、読んでいて辛かった。全編を通じて陰鬱で救いがない物語。そのくせ想像だにしなかった展開に驚き、新たな興味を覚え先を読まずにはいられない気分にさせる。このあたりが本書のミステリーとして優れるところ。そして驚愕のどんでん返し。序盤、中盤、終盤とまったく違う顔を見せる類い希な小説でした。それにしても救いがない。
読了日:1月10日 著者:ピエールルメートル


木を植えた人木を植えた人感想
こうした生き方を人生の到達点として選べることは素晴らしい生き方として尊敬に値すると思います。ただ、訳者・原みち子氏の「あとがき」が少々残念に思われます。それは「ほんとうに世を変えるのは、権力や富ではなく……ねばり強く、無私な行為」だというくだりです。この物語に描かれた行為の気高さは権力や富のあるなしには関係ないはずです。彼の行為はひたすら純粋に無私の行為であって、日々積み重ねる祈りのような行為であったと思います。我々はその行為を反権力とか反体制などというバイアスをかけた眼でみるべきではないと思うのです。
読了日:1月10日 著者:ジャンジオノ


鴨川食堂鴨川食堂感想
「”食”探します」 客の依頼で思い出の食べ物を探しだし、再現し提供するという趣向。断片的な手がかりから思い出の味を再現する展開はミステリー小説と言えなくもないが、むしろ人情小話といったほうがぴったりか。人には誰にも思い出の味がある。その味をもう一度食べることで、味だけでなく当時の様々なことが鮮明に思い起こされる。長い時の経過にさらされても忘れ去られることなく、心の奥底で大切に守ってきた思い出、それこそがその人のルーツだろう。”食”を探しだす作業は、その人の人生を見つめ直し、未来へ向かわせる作業でもある。
読了日:1月11日 著者:柏井壽


変見自在 マッカーサーは慰安婦がお好き変見自在 マッカーサーは慰安婦がお好き感想
髙山氏はご自分のコラムを「偏見」とはいいわず「変見」という。定説を疑ってかかれば真実が見え、このコラムに書かれたことが「偏見」ではないことがわかるはずだという思いがあるに違いない。新聞記事は疑え。アメリカは強いが正しくはない。アメリカの悪いところは、自分はいつも正義で、悪いのは相手だと言い張ること。中国には強い態度で臨むべし。白人優越主義は今も生きている。伴天連は人身売買をやっていた不逞の輩であった。アウンサンスーチーの活動は必ずしもミャンマーのためにならない。偏見を排し検証してみる必要がありそうだ。
読了日:1月13日 著者:高山正之


三屋清左衛門残日録 (文春文庫)三屋清左衛門残日録 (文春文庫)感想
人にはそれぞれの生き様がある。されば自ずと老い方も様々である。書を読み、身体を動かし、釣りを楽しみ、たまに行きつけの居酒屋で旬を味わい酒を飲む。そうしたささやかな営みに幸せを感じる。そんな「老い」が人生の締めくくりにふさわしい。しかしふさわしく老いることは思いのほか難しそうだ。
読了日:1月17日 著者:藤沢周平

 

 


ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)感想
最近は書き込みのある「痕跡本」なるものが密かに人気であると聞く。普通ならそのような本は嫌われるだろうが、なるほど見方を変えればそれも面白い。書き込んだ人がどのような人物であったか、どのような心境であったかを推理する楽しみがありそうなのだ。まして本の著者自らの書き込みとなれば想像はいや増しそうである。その小説世界だけでなく、それを書いた作家の人生をも読み解いてみたい。作家ゆかりのものを手にしたい。そのような思いを抑えきれない病的なものが人にはある。知的であることも嵩ずれば病気と変わらないということか。
読了日:1月19日 著者:三上延


ぶたぶた【徳間文庫】ぶたぶた【徳間文庫】感想
心がささくれ立ってきたらこの本を読むと良い。なんだか誰にでも優しくなれそうな気がする。そう、ここに描かれた世界はひたすら優しい。家出という家族を拒絶する行為ですら「家出のしきたり」に従えば家族への思いやりを宿すから不思議だ。
読了日:1月21日 著者:矢崎存美

 

 

 


ファイティング寿限無 (ちくま文庫)ファイティング寿限無 (ちくま文庫)感想
2008年第4回酒飲み書店員大賞に選ばれた一冊。積読本として長い間私の本棚に眠っていましたがついに手に取りました。何かを手に入れるということは何かを失うということ。ボクシング、落語、恋。自分にとってとても大切なものを捨てても得たいものが見つかったなら、それを追い求める。追い求めるのは自分がそう決めたからだ。決めたことはやるしかない。久しぶりに談志師匠の「二階ぞめき」を聴きたくなりました。
読了日:1月22日 著者:立川談四楼

 


鴨川食堂おかわり鴨川食堂おかわり感想
『鴨川食堂』の続編、題して「おかわり」とは。もしさらに続編第3巻を出すとしたらどうするのだろう。「おかわりのおかわり」? いや、食べ物を扱う小説にそんなしつこい名はつけられないだろうと余計な心配をする私である。濃厚ソースの押しつけがましい味ではなく、うすくひいただし汁のように、それを口にした者が味を探し求め、深く深く味わうような短編が六つ。この小説はまさに和食テイストだ。料理や食材の何気ない知識とともに、『百夜通い』や『桜川』と「能」の知識をさりげなく持つ人に憧れる。まだまだ知らないことばかりだ。
読了日:1月24日 著者:柏井壽


変見自在 プーチンよ、悪は米国に学べ変見自在 プーチンよ、悪は米国に学べ感想
世間に尤もらしく流布される話がいかにいい加減で当を得ないものかがよくわかる。三朝温泉を名湯であって、将来、私は湯治に使う可能性もあると思うほどである。泉質の良い源泉のものなら薬代わりに飲みたいぐらいのものだ。だから福島産のものも美味しいものなら買いますよ。ヨーロッパに行くより放射線被曝は少ないですから。(笑)ウソとデマで自国を有利に導こうとするのは世界各国どこも同じだろう。しかしその悪辣さの程度において、大航海時代から近代に至るまで世界各地を蹂躙し支配してきた欧米諸国のウソほど酷いものはない。  
読了日:1月25日 著者:高山正之


侠飯 (文春文庫)侠飯 (文春文庫)感想
さくっと読めて暇つぶしに良い本。人に勧めるほどの感動は無し。飯の炊き方、味噌汁の作り方、炒飯の作り方、缶詰オイルサーディンのウマイ食べ方、フライパンを使ったレトルトカレーの美味しい食べ方、良い勉強になりました。
読了日:1月25日 著者:福澤徹三

 

 

 


アフターダーク (講談社文庫)アフターダーク (講談社文庫)感想
わけがわかりませぬ。エリは何故ねむり続けているのか。「顔のない男」の正体はなにか。白川は果たしてこの小説に重要なのか、どういう意図で登場させたのか。深夜の街を見つめるカメラ、語り手は誰の視点なのか、読者なのか。村上氏は何を意図してこのような表現をとったのか。読者に大いに想像させる余地を作ったのだろうか。ただ単に実験的な遊びだとしたらとんでもない駄作なのかもしれない。うーん、わからない。とは言え、作中の登場人物のいかした会話は健在。物語としてわけがわからなくても、それぞれのパートを読ませる力は流石だ。
読了日:1月28日 著者:村上春樹
食堂つばめ (ハルキ文庫 や 10-1)食堂つばめ (ハルキ文庫 や 10-1)感想
食べ物が沢山出てくるファンタジー。シリーズものであり、第1巻を読んだ現時点で、まだ評価は定まらない。とりあえず第2巻までは読んでみることとしよう。
読了日:1月29日 著者:矢崎存美

 

 

 

 


刑事ぶたぶた (徳間文庫)刑事ぶたぶた (徳間文庫)感想
ソフトバンクモバイル白戸家のお父さん、白戸次郎は白犬である。美人の奥さんは普通の人間である。学校の同級生だったらしい。驚いたことにその息子・小次郎は黒人である。まあ、この際それはどうでも良いことだ。さて、本書の主人公「山崎ぶたぶた」は豚のぬいぐるみである。刑事であり、奥さんと子ども二人の4人家族だ。奥さんと子どもは普通の人間らしい。美人の奥さんはぶたぶたの浮気を疑って探偵を雇ったこともあるほどぶたぶたに惚れている。バカボンのママのように穏やかな良妻賢母なのか? 興味津々である。
読了日:1月31日 著者:矢崎存美

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