佐々陽太朗の日記

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『木暮荘物語』(三浦しをん:著/祥伝社文庫)

『木暮荘物語』(三浦しをん:著/祥伝社文庫)を読了。

まずは出版社の紹介文を引きます。

小田急線の急行通過駅・世田谷代田から徒歩五分、築ウン十年、全六室のぼろアパート木暮荘。そこでは老大家木暮と女子大生の光子、サラリーマンの神崎に花屋の店員繭の四人が、平穏な日々を送っていた。だが、一旦愛を求めた時、それぞれが抱える懊悩が痛烈な悲しみとなって滲み出す。それを和らげ癒すのは、安普請ゆえに繋がりはじめる隣人たちのぬくもりだった…。

 

木暮荘物語 (祥伝社文庫)

木暮荘物語 (祥伝社文庫)

 

 

  小泉今日子さんが「あぁ、私はこの物語がとっても好きだと書評に書いたという。何となくわかる気がする。同感というのではない。小泉今日子さんならこういう物語が好きだろうなぁ、という意味である。上手く言えないのだが、ティーンエイジャーであったころの異常に可愛いアイドルから女性にも好かれるカッコイイ女優になり、若い男もたぶらかすやり手オバサンへと ”純情・愛情・過剰に異常” な七変化を遂げたならば・・・という意味なのだ。よくわからんか・・・。

 さて、この小説は小田急沿線・世田谷代田駅から徒歩五分、築ウン十年のぼろアパート「木暮荘」の住人の愛とつながりの物語である。というより七編の短編すべてに共通するのはセックスである。その様は純情から異常までとりどり。人にとってセックスはけっしてどうでも良いことではない。そして閉じた環境で形成される関係なので、純情だろうが、過剰だろうが、異常だろうがおもいのまま縛りがない。人はどう生きようとかまわないし、”へん”が”ふつう”。ふつうにへんな生き物なのだろう。