『一路 (上・下)』(浅田次郎:著/中公文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
(上)失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田名部郡に帰参した小野寺一路。齢十九にして初めて訪れた故郷では、小野寺家代々の御役目・参勤道中御供頭を仰せつかる。失火は大罪にして、家督相続は仮の沙汰。差配に不手際があれば、ただちに家名断絶と追い詰められる一路だったが、家伝の「行軍録」を唯一の頼りに、いざ江戸見参の道中へ!(下)
中山道を江戸へ向かう蒔坂左京大夫一行は、次々と難題に見舞われる。中山道の難所、自然との闘い、行列の道中行き合い、御本陣差し合い、御殿様の発熱……。さらに行列の中では御家乗っ取りの企てもめぐらされ――。到着が一日でも遅れることは御法度の参勤交代。果たして、一路は無事に江戸までの道中を導くことができるのか!
人情、泣き笑い、心意気の小説でした。キャラクターがそれぞれに魅力的なところは稀代のストーリーテラーのなせる技、流石です。難しいことを考えずに、存分に楽しみながらどんどん読み進めることが出来る。しかし武家社会というヒエラルキーの中にあって世襲のお役目ゆえの悲喜こもごもを見るにつけ、殿様には殿様の、御供頭には御供頭の、留守居には留守居の器量があり、それぞれが一所懸命なのだと気づく。泣き笑いの物語の中に知らず知らずリーダーとしての心得と覚悟を見いだし、いつの間にか背筋が伸びていた。そんな小説でした。
気分が嵩じて思わず関連本を発注しました。歩くのではなく自転車で走りたいと思ってます。(笑)
中山道69次を歩く 究極の歩き方120(改訂版) 単行本 2011/10/28
岸本 豊(中山道69次資料館長):著
浅田次郎と歩く中山道 - 『一路』の舞台をたずねて 単行本 ? 2013/4/9
浅田 次郎 (著)