国民の素朴な感情に迎合しないことが真の政治ではないのか。そもそも普通使われる意味での国民とは現在この国に住む人々にすぎない。国家とはこれまでのすべての国民、これからのすべての国民のものである。従って政治家の頭には国民ばかりでなく国家もなくてはならない。国家のため国民に耐乏生活を強いることもありうるし、時には嘘をついて国民を欺かなければならないこともある。
(中略)
つまらぬ甘言で票を得ようとするのは国民を愚弄している。政治家は国民に迎合してもいけないし愚弄してもいけない。
藤原正彦・著『大いなる暗愚』P58-P59より
同じようなことを考えてはおりましたが、「現に住んでいる国民だけでなく、これまでの国民とこれからの国民のこと、つまり国家を考えよ」という視点までは持っていませんでした。目が覚めた思いです。