佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークⅤ』(石田衣良・著/文春文庫)

『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークⅤ』(石田衣良・著/文春文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

マコトが行くところ、今日も池袋に事件がにおう。風俗スカウト事務所の罠にはまったサンシャイン60階通りのウエイトレス。伝説のスターが設立を夢見るロックミュージアムの真実。「わたしの姉はおもちゃの人形をつくるために死んだ」と、巨大企業と闘うため中国からひとりでやってきた娘。集団自殺をプロデュースするインターネットの“クモ男”──。ストリートの「今」を鮮やかに描くIWGPシリーズ、切れ味がさらに増した第5弾! 

 

反自殺クラブ―池袋ウエストゲートパーク〈5〉 (文春文庫)

反自殺クラブ―池袋ウエストゲートパーク〈5〉 (文春文庫)

 

 

このシリーズを第5弾まで読んできたが、私の頭の中では主人公のマコトと石田衣良さんが像を結んでいる。イメージとして斜に構えず物事にきちんと向き合う人。理詰めで人を切って捨てたりせず、恕すことを知っている人という感じかな。

私は衣良さんが描くマコトの価値観が好きだ。金はそんなに要らない。好きな音楽がき聴けて、映画を見ることが出来て、素晴らしい小説が読めればそれでいい。

作中の登場人物・神宮寺貴信語らせた次のような台詞がある。

「おれは日本の男が情けないよ。誰だって高校生のころはなけなしのこづかいをためて、ものすごく高価だったLPを買ったもんだ。そいつらがもう音楽を忘れちまった。仕事と生活に追われて、時間も金もないという。音楽なんて、映画なんて、小説なんて。あんなものは、みんなただの贅沢だという」

その嘆き、よくわかります。