佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2015年12月の読書メーター

2015年12月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3568ページ
ナイス数:2449ナイス

先月は久しぶりにIWGPシリーズを読んだ。やはりイイ。
久しぶりと言えば『乙嫁語り』(第8巻)が出た。うれしい限り。

『しんがり 山一証券最後の12人』は衝撃のノンフィクションであった。

播磨の峠ものがたり播磨の峠ものがたり感想
題名に「ものがたり」と謳っているが、ストーリー性のある伝説などはほとんど書かれていない。播磨国風土記をひもとき、あるいは源平の合戦、秀吉の播磨攻め、その峠に係るちょっとしたエピソードが書かれている。その峠を行き来した人々の想いや運命に思いをはせて時空を旅するがごとき読書感を楽しむことができた。ふと来年のテーマは「達成感」にしようと決めた。坂を上り峠に立つことからの連想である。仕事でそれを味わえればありがたい。プライベートでは休日を利用して本書で紹介されたあちこちの峠を自転車で訪れてみよう。よし、決めた!

読了日:12月31日 著者:須磨岡輯


星のかけら (新潮文庫)星のかけら (新潮文庫)感想
いじめ、ひきこもり、幽霊・・・ 苦手なテーマだなと思いながら読みきることなく長らく本棚に放置していました。おまけに少年少女向けに書かれたものとあってはなかなか食指が動かなかった。重松さん大好きな私としてはあまりないことだ。だが三日前に読書用の眼鏡を無くしてしまい、読みやすそうなものを本棚から探したところこれを読むことに決定。行間に余裕があり、漢字が少なく読みやすい。つまり目に優しいのだ。こども向けだとバカにしてはいけない。なかなか深い。そして人の心の内にある善良さを信じようと思わせてくれる重松節は相変わらずです。

読了日:12月28日 著者:重松清


旅自転車とランドナーの本 (エイムック 2889)旅自転車とランドナーの本 (エイムック 2889)感想
読んだというか矯めつ眇めつ、あれこれ想像して楽しんだといったところ。私は"bianchi"のロードバイクとスポルティーフを持っていますが、使っているのはもっぱらロードバイク。長旅にでるほどの長期休暇が取れるはずもなく、せっかくのスポルティーフも眺めるだけ状態です。今は雑誌やネットでツーリング・パーツをあれこれ見て、どれにしようか、どれが便利だろうなどとあれこれ考えながら、いつか長期自転車旅に出る日を楽しみに想像することで辛抱しています。まあ、それだけでも楽しいというおめでたい人間です、私は。(笑)
読了日:12月27日 著者:


しんがり 山一證券最後の12人 (講談社+α文庫)しんがり 山一證券最後の12人 (講談社+α文庫)感想
山一証券が破綻したのは1997年。当時私は38歳であった。その頃の私ならこの本をどう読んだだろう。興味の持ち方と強さが違っていたのではないかと思う。今、仕事で株主総会や財務、コンプライアンスに少なからずかかわる立場にあって、この本に書かれていることの意味は重い。全て実名で記載されているのも衝撃だ。ほとんど夜を徹して読み切った。眠気も吹っ飛ぶほどの内容だった。すごい。
読了日:12月25日 著者:清武英利


マル暴甘糟マル暴甘糟感想
世の為、人の為、思わず応援したくなる任侠ヤクザシリーズに登場する名物脇役、丸顔で童顔のマル暴刑事・甘糟達夫が主人公として活躍するスピンオフ小説。大人気を博している任侠シリーズを読んだ上は、まさかこの小説も外すわけにはまいりません。いやぁ、イイ味出してます。(笑)
読了日:12月20日 著者:今野敏

 


幸せの条件 (中公文庫)幸せの条件 (中公文庫)感想
読んで幸せな気持ちになれる小説です。正直なところ農家に育った私にとって、小説中で稲作の過程を記述してあるところはまどろっこしい。しかし、現代において多くの読者にはそういう説明的な記述も必要なのだろう。その部分を除けば、物語にグイグイ引き込まれ一気読みでした。本書を読んだことがきっかけになり石川英輔氏の大江戸シリーズ(講談社文庫)を読みたくなり、全七巻を購入。年末年始に読み切ってしまおうかと考えています。楽しみです。良き年の暮れです。
読了日:12月19日 著者:誉田哲也


もう年はとれない (創元推理文庫)もう年はとれない (創元推理文庫)感想
主人公はなんと87歳。私などまだまだ若造、青二才、ひよっこ、はなたれ小僧のガキンチョである。とはいえ、いよいよオジンの仲間入りした私にとって「老人の、老人による、老人のためのエンターテインメント」はなんとも魅力的に見えた。率直な感想は確かに面白いがイマイチといったところ。主人公に感情移入できないし復讐ものとしての魅力に欠ける。そもそも私は日頃イスラエルの所行を腹立たしく思っているのでユダヤ人にシンパシーを感じにくいのだ。続編の『もう過去はいらない』の評価も高いようだが、いまのところ読もうとは思っていない。
読了日:12月17日 著者:ダニエル・フリードマン


乙嫁語り 8巻 (ビームコミックス)乙嫁語り 8巻 (ビームコミックス)感想
森さんの中央アジア萌えが画(特に衣装)の描き方に出ています。相変わらずの微細な表現に感服します。しかし私は今巻を読んで残念なことに気づいてしまった。残念といっても作者・森薫氏には何の落ち度もないのだが。何が残念なのかというと、私の目が森さんの微細な筆致を鑑賞する能力を失いつつあるという現実です。最近とみに視力が衰え、真昼の明るさの下ででなければ細かな表現を瞬時に判別しかねるのです。とはいえ、昼間は仕事があるので、読むのは夜か早朝。じっくり見たいところは天眼鏡の助けが必要な有様。トホホである。
読了日:12月15日 著者:森薫


斬られ権佐 (集英社文庫)斬られ権佐 (集英社文庫)感想
宇江佐さんの小説を読むのはこれで23冊目。追悼の気持ちで未だ読んでいないものを探して読んでいます。「おっこちきれた」という言葉を初めて聞いた。「ぞっこん惚れる」ことであるらしい。人と生まれ、ただ一度の人生、それも命がいつまであるかは誰にも判らない。であればこの人でなければとおっこちきれることは一等の幸せに違いない。権佐とあさみ、そして娘のお蘭の物語に恥ずかしげもなくボロボロ泣いてしまいました。解説の藤水名子さんのお薦めに従い次は『掘留の家』を収録した『富子すきすき』(講談社文庫)を読むことにする。
読了日:12月9日 著者:宇江佐真理


灰色のピーターパン―池袋ウエストゲートパーク〈6〉 (文春文庫)灰色のピーターパン―池袋ウエストゲートパーク〈6〉 (文春文庫)感想
「春がまためぐってくるように、おれたちの心には自分自身の傷を修復しようという自然の治癒力があるはずなのだ。そうでなければ、心なんて不便なものを、誰が一生もって歩くというのだろうか」(本書P126より) ディストピアとしての池袋、その街の中で醜い状況や厳しい現実を見ながらもマコトは人らしい心を失わない。それはそんな街に住む者の中にも確かな良心が存在すると信じようとする行為。祈りにも似た行為だろう。
読了日:12月5日 著者:石田衣良


反自殺クラブ―池袋ウエストゲートパーク〈5〉 (文春文庫)反自殺クラブ―池袋ウエストゲートパーク〈5〉 (文春文庫)感想
このシリーズを第5弾まで読んできたが、私の頭の中では主人公のマコトと石田衣良さんが像を結んでいる。イメージとして斜に構えず物事にきちんと向き合う人。理詰めで人を切って捨てたりせず、恕すことを知っている人という感じかな。  私は衣良さんが描くマコトの価値観が好きだ。金はそんなに要らない。好きな音楽がき聴けて、映画を見ることが出来て、素晴らしい小説が読めればそれでいい。
読了日:12月3日 著者:石田衣良


電子の星 池袋ウエストゲートパークIV (文春文庫)電子の星 池袋ウエストゲートパークIV (文春文庫)感想
久しぶりにIWGPシリーズに戻った。やはりイイ! このシリーズの良さは池袋というある意味猥雑な街が舞台となっていることとその街の持つ危険な香りだろう。カラーギャングが登場し活躍するなどピカレスクのテイストを持つが、主人公・マコトはそんな街の中で騎士道精神をもった存在として一線を画しているといえる。一線を画しながらも、マコトは非合法な存在を否定するのではなく、そのような存在も含め、池袋という街を愛しているところがあり、そのあたりが薄っぺらな正義漢とは違う魅力を持つ。次はシリーズⅤ『反自殺クラブ』を読む。
読了日:12月1日 著者:石田衣良

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