長い間私は、もし人が本当に生きる目的を持つならば、その目的のために命を捧げることになるのだ、と納得していた。世間の平和主義者と呼ばれる人たちは、それを、時には国家による強制された死とごっちゃにする。しかしそうではない。彼らは、完全な自由意思の元に、自ら選び、或る人のために命を捧げることを承認するのである。もちろんそのおうな真の勇気ある行為をできる人は、決して多くはない。その他大勢は、思いつきで、自分は金銭的にも時間的にも健康上も少しも傷つかず、時々軽く、「いいこと」みたいに見えることをする。
曾野綾子・著『弱者が強者を駆逐する時代』P44より