佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『はなとゆめ』(冲方丁・著/角川文庫)

『はなとゆめ』(冲方丁・著/角川文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

なぜ彼女は、『枕草子』を書いたのか――。28歳の清少納言は、帝の妃である17歳の中宮定子様に仕え始めた。華やかな宮中の雰囲気になじめずにいたが、定子様に導かれ、その才能を開花させていく。機転をもって知識を披露し、清少納言はやがて、宮中での存在感を強める。しかし幸福なときは長くは続かず、権力を掌握せんとする藤原道長と定子様の政争に巻き込まれて……。清少納言の心ふるわす生涯を描く、珠玉の歴史小説! 

 

 

はなとゆめ (角川文庫)

はなとゆめ (角川文庫)

 

 

自転車旅に出て、直島の本村を走っているときに雨に遭い、家プロジェクト「石橋」の中の縁側に坐って読んだ。旧家の落ち着いた庭にむかって、雨の雫が屋根からポタポタ落ちる音を聴きながらの読書はしばらく現代を忘れさせる極上の時間となった。清少納言の「あわい」を見るのが好きという気持ち、中宮・定子様の華を愛し「中宮様の番人」を自任する気持ちが胸をうった。愛しいと感じる全てを書く、愛しさを通して憎らしさも嫌なこともすべて面白いものにかえて書いてしまう。それが「枕草子」となったのだなぁ。