佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

YouTubeで落語 Vol.008 『言訳座頭』

『新版 落語手帖』(矢野誠一・著/講談社)に紹介された274席のうちの8席目は『言訳座頭』。

 あらすじは以下のとおり。

甚兵衛夫婦は年を越せるか! それは座頭の舌先三寸しだいで。

借金がたまってにっちもさっちも行かず、
このままでは年を越せない長屋の甚兵衛夫婦。

大晦日、かみさんが、
口のうまい座頭の富市に頼んで、借金取りを撃退してもらうほかはない
と言うので、甚兵衛はなけなしの一円を持って早速頼みに行く。

富市、初めは金でも借りに来たのかと勘違いして渋い顔をしたが、
これこれこうとわけを聞くと
「米屋でも酒屋でも、決まった店から買っているのなら義理のいい借金だ。
それじゃああたしが行って断ってあげよう」
と、快く引き受けてくれる。

「商人は忙しいから、あたしがおまえさんの家で待っていて断るのは
無駄足をさせて気の毒だから」
と、直接敵の城に乗り込もうという寸法。

富市は
「万事あたしが言うから、おまえさんは一言も口をきかないように」
とくれぐれも注意して、
二人はまず米屋の大和屋に出かけていく。

大和屋の主人は、有名なしみったれ。

富市が頼み込むと、
今日の夕方にはなんとかするという言質をとってある以上待てない
と、突っぱねる。

富市は居直って
「たとえそうでも、
貧乏人で、逆さにしても払えないところから取ろうというのは理不尽だ。
こうなったら、ウンというまで帰らねえ」
と、店先に座り込み。

他の客の手前、大和屋も困って、
結局、来春まで待つことを承知させられた。

次は、薪屋の和泉屋。

ここの家は、富市が始終揉み療治に行くので懇意だから、
かえってやりにくい。

しかも親父は名うての頑固一徹

ここでは強行突破で
「どうしても待てないというなら、
頼まれた甚さんに申し訳が立たないから、あたしこここで殺せ、さあ殺しゃあがれ」
と、往来に向かってどなる。

挙げ句、人殺しだとわめくので、
周りはたちまちの人だかり。

薪屋、外聞が悪いのでついに降参。

今度は、魚金。

これはけんかっ早いから、薪屋のような手は使えない。

「さあ殺せ」と言えば、すぐ殺されてしまう。

こういう奴は下手に出るに限る
というので、
実は甚兵衛さんが貧乏で飢え死にしかかっているが、
たった一つの冥土のさわりは、
魚金の親方への借金で、
これを返さなければ死んでも死にきれない
と、うわ言のように言っていると泣き落としで持ちかけ、これも成功。

ところが、
その当の甚兵衛が目の前にいるので、魚金
「患ってるにしちゃあ、馬鹿に顔色がいい」
と、きつい皮肉。

さすがの富市も慌てて、
熱っぽいから火照っているとシドロモドロでやっとゴマかした。

そうこうするうちに、除夜の鐘。ぼーん。

富市は急に、
「すまないが、あたしはこれで帰るから」
と、言い出す。

「富さん、まだ三軒ばかりあるよ」
「そうしちゃあいられねえんだ。
これから家へ帰って自分の言い訳をしなくちゃならねえ

 

 江戸時代の暮れの雰囲気が味わえる噺です。借金をする側も開き直れば強いもの。

 YouTubeで探しましたがありませんでした。あまり寄席でかからない噺なのかもしれない。

 音声だけですが柳家小さん師匠のがありました。

lakugo.seesaa.net