佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2016年10月の読書メーター

2016年10月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3194ページ
ナイス数:1123ナイス

10月は冲方丁氏の描く清少納言水戸光圀安部龍太郎氏の描く長谷川等伯と歴史上実在した人物の物語を多く読んだ月となった。後半は『ひとりでは生きられない』(養老静江)、『恋しくて』(村上春樹:訳)、『森崎書店の日々』(八木沢里志)で様々な恋のかたちを味わった。直島、豊島を自転車で旅し芸術に触れ、「灘けんかまつり」を見物し、さらには金沢、長崎、稚内と美しい町を旅するなど情緒あふれる月であった。


はなとゆめ (角川文庫)はなとゆめ (角川文庫)感想
自転車旅に出て、直島の本村を走っているときに雨に遭い、家プロジェクト「石橋」の中の縁側に坐って読んだ。旧家の落ち着いた庭にむかって、雨の雫が屋根からポタポタ落ちる音を聴きながらの読書はしばらく現代を忘れさせる極上の時間となった。清少納言の「あわい」を見るのが好きという気持ち、中宮・定子様の華を愛し「中宮様の番人」を自任する気持ちが胸をうった。愛しいと感じる全てを書く、愛しさを通して憎らしさも嫌なこともすべて面白いものにかえて書いてしまう。それが「枕草子」となったのだなぁと感慨深い。
読了日:10月2日 著者:冲方丁


地中ハンドブック地中ハンドブック感想
2016/10/01~02、二度目の直島訪問時に持参。2012年に地中美術館を訪れたときに購入したものを再読。初回の訪問で私は直島に惚れた。島全体が一つの美術館のように感じられ、地中美術館はその中のひとつだ。まことに素晴らしい。これからも何度となく訪れることになるだろう。
読了日:10月2日 著者:地中美術館

 

 

ほぼ糖質ゼロ食材のやせぐせレシピ150 (主婦の友生活シリーズ)ほぼ糖質ゼロ食材のやせぐせレシピ150

(主婦の友生活シリーズ)感想

こんにゃく、きのこ、モヤシ、海藻を食べ、糖質摂取を制限。しかもミネラル、カリウム、カルシウムはキチンと摂れる。素材は安く経済的。 結果に結びつくかどうかはともかく、私、方針は明確でございます。
読了日:10月3日 著者:

 

光圀伝 (上) (角川文庫)光圀伝 (上) (角川文庫)感想
前段、子龍(光圀)が兄・竹丸(頼重)を思う気持ちに心振るわせ、竹丸が子龍を思う気持ちに心打たれ、二人が別れる場面に涙した。中段、光圀と林読耕斎との友情の芽生えを喜んだ。後段、泰姫の登場に雀躍した。泰姫の清潔な正直さ、誠実さは光圀の心のオアシスになるに違いない。欺瞞の泥にまみれながらも、一片の清潔を守り通す白蓮のごとき誠意とは斯くも可憐なものか。可憐でありかつ高潔な白蓮のごとき泰姫に膝枕をしてもらう光圀、うらやましいぞっ! 下巻には泰姫を存分に登場させていただきたい。冲方どの、そのあたりよろしく。
読了日:10月13日 著者:冲方丁


光圀伝 (下) (角川文庫)光圀伝 (下) (角川文庫)感想
あぁ、泰姫がそんなに早く・・・。上下巻あわせて1040ページ堪能しました。テレビドラマを通じて持っていた水戸光圀像が完全に覆りました。どうやら偏見を持ってしまっていたようです。と、ここまで書いて冲方丁氏が描く水戸光圀像が正確かどうかも分からないことに気づいた。ま、いいか。水戸光圀、なかなか魅力的な人物です。それにも増して、私、すっかり泰姫のファンになってしまいました。
読了日:10月17日 著者:冲方丁

 


等伯 上 (文春文庫)等伯 上 (文春文庫)感想
幾重もの苦難は絵師として類い稀な才能に恵まれた等伯故のものか。それほどの高みを望まなければ、あるいは平穏な幸せを手にすることもあったろうに。しかし、真に美しいもの知り、それを表現できる才能に恵まれた等伯であれば、大切なものを抛ってでも到達したいところがある。その因業はあえて一身に引き受けるしかないのだ。天才とはそういうものなのだろう。
読了日:10月20日 著者:安部龍太郎

 


ひとりでは生きられない ある女医の95年 (集英社文庫)ひとりでは生きられない ある女医の95年 (集英社文庫)感想
著者の文章を初めて読みました。それもそのはず、著者・養老静江さんは養老孟司さんのお母様だそうです。本書のあとがきを書かれたのが実に九三歳。自分の思い出をたどって書いてみようと随想を書きはじめられたのが八三歳の頃だったそうです。それだけで頭が下がります。年老いてなお何かを始めようとする意欲がおありになること、始めたことを継続なさることに敬服しました。文章は素直で飾らないもの。それを淡々と綴っていらっしゃる。もともと正直な方なのでしょう。「正直に自分らしく生きる」歳を取っても元気に生きる秘訣かも知れない。
読了日:10月26日 著者:養老静江


等伯 下 (文春文庫)等伯 下 (文春文庫)感想
下巻では等伯が真の美を探し求める姿勢、美を至上のものとする姿勢が、利休が秀吉から死を賜ったエピソードも交えて描かれた。等伯が最終的に至った境地、もしそれが利休と同じく秀吉に対して生死を賭して訴えたものだったとすれば、その答たる「松林図」は象徴的だ。積年の想いと修練の積み重ねが「楓図」であったとすれば、「松林図」はそれらを削ぎ落とし、名利から解き放たれた己の姿なのではないか。それは等伯が大いなる悲しみの人生を歩んだ末に、他を”恕する”境地に至ったことの表れではないだろうか。
読了日:10月29日 著者:安部龍太郎


恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES (中公文庫)恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES (中公文庫)感想
私の好みはなんといっても第一話「愛し合う二人に代わって」(マイリー・メロイ)だ。甘く切ないストレートなラブストーリーである。「世の中には初心者向けの素直で素朴な恋愛もあれば、上級者向けの屈折した恋愛もある」 村上氏はあとがきにこう書いている。五七歳になる私が初心者向けの恋愛でもあるまいにと思う反面、それの何処が悪いという開き直りもある。やはり恋愛にはある種の熱が必要だし、いくつになってもワクワク感が欲しい。おそらく冷静になってみればそれは恥ずかしいことなのだろう。しかし、そもそも恋とはそういうものなのだ。
読了日:10月30日 著者:村上春樹(訳)


森崎書店の日々 (小学館文庫)森崎書店の日々 (小学館文庫)感想
イイ! 何がイイかといって、主人公が失恋の末に住んだ部屋の環境がイイ。「余計なものはひとつとしてなく、手を伸ばせば本がそこにある」 最高じゃないですか。しかも、その部屋は古本屋の二階ときた。しかも、しかも、その古本屋は神田にあるときた。超最高じゃないですかっ! あぁ、私もそんなところに住んでみたい。物語は二つのピュアなラブストーリー。イイじゃないですかっ!!
読了日:10月31日 著者:八木沢里志

 



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