佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

10月の読書メーター

10月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1269
ナイス数:915

 

 先月は何かと忙しくあまり本を読めなかった。しかし読んだものすべてが満足できる内容。充実しておりました。

ライカと歩く京都 (京都しあわせ倶楽部)ライカと歩く京都 (京都しあわせ倶楽部)感想
「弘法さん」「天神さん」と祭りを大切にする街。出世払いと学生を大切にする街。旧さと新しさが混在し融合する街。カメラを持ってぶらりと街歩きをすると切り取りたい風景がそこかしこにある。路地を歩く。気まぐれにバスに乗り、気の向いたところで降りる。何処にも京都らしさがある。旧いものも新しいものも不思議と京都らしい。そこに住む人も、観光に来た人も、みんな含めて京都だ。ぬるい銭湯、コシの抜けたうどん、意外と多い洋食屋と中華料理店、観光地の喧噪と路地の静寂、どんな京都もいとおしい。
読了日:10月25日 著者:小山 薫堂,アレックス・ムートン
地獄変 (ハルキ文庫 あ 19-2 280円文庫)地獄変 (ハルキ文庫 あ 19-2 280円文庫)感想
本題の小説について、まず「地獄変」ですが、狂気ともいえるほど突き抜けた何かを持つものを芸術や美と呼ぶならば、これほどの耽美はあるまい。このような話は正気の人間からは生まれ得ない。小説としてスゴイが私は二度と読む気がしない。続いて「六の宮の姫君」。この時代に女が経済的基盤を持つとすれば、男に通わせるしかない。そんなことにまったく興味を持てない無垢な女を芥川は批判的に書いたのか? 否、文章を読む限りそのような意図は感じられない。彼は無垢なままでは生きることが出来ない現世というものに絶望していたのではないか。
読了日:10月24日 著者:芥川 龍之介
バカの壁 (新潮新書)バカの壁 (新潮新書)感想
どうして物事をそんなにステロタイプにとらえるのか。どうして宗教をそんなにたやすく盲信するのか。一つのイデオロギーに寄っかかっていて不安にならないのか。原理主義などと、まともな人間から見ればバカげた理屈を、どうして金科玉条とできるのか。どうして教育者や政治家、新聞のいうことの中に潜むウソに気付かないのか。イライラし通しなのは私だけではないだろう。本書はどんどん一元論化しつつあり、それゆえ思考停止に陥ってしまいそうな現代に警告を発している。特に教育や宗教に対する養老さんのスルドイ指弾に拍手喝采!
読了日:10月20日 著者:養老 孟司
別冊Discover Japan_TRAVEL いつか行きたいニッポンの絶景 (エイムック 3700 別冊Discover Japan_TRAVEL)別冊Discover Japan_TRAVEL いつか行きたいニッポンの絶景 (エイムック 3700 別冊Discover Japan_TRAVEL)感想
写真を眺めながらあれこれ旅の計画を立てる。しあわせな時間です。刊行データブックとして永久保存版です。80頁から81頁の「ニッポンの花カレンダー」が季節ごとの逆引きに使いやすい。また巻末のINDEXが「エリア別」「ベストシーズン別」「気持ち別」「テーマ別」「眺望難易度別」に整理されており、旅の計画を立てるのに重宝する。とりあえず還暦を迎えるまでに「眺望難易度別」で星5つ(★★★★★)となっているところには行っておきたい。
読了日:10月20日 著者: 
去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)感想
この小説はいろいろな意味で予想を裏切ってくれる。題名から純文学的恋愛小説を想像していたのだが、実はミステリーであった。読み方によっては純文学と言えなくもないし恋愛小説と言えなくもない。しかしこれはやはりミステリーである。それもかなり出来の良いミステリーであると断言しておこう。結末も予想だにしなかったもの。他にもいろいろな仕掛けがある。巻末に著者自らの解説まで付いている。確かにこの解説がなければ「M・Mへ  そしてJ・Iに捧ぐ」というイニシャルに関する疑問は解けないままだったろう。
読了日:10月16日 著者:中村 文則
フロスト始末〈下〉 (創元推理文庫)フロスト始末〈下〉 (創元推理文庫)感想
不屈の仕事中毒、下品なジョークと愚痴を口にしながら不眠不休の活躍を見せるのはいつものフロスト警部だ。しかし本作がウィングフィールドの遺作となれば、何をどうしてもフロスト警部とおさらばだ。だがなんと、ウィングフィールド亡き後、遺族の許可を得た二人組の作家が巡査部長時代のフロストを主人公とした長編を発表し始めたらしい。「さらばフロスト警部、フロスト巡査部長よこんにちは」と浮かれていた私ははたと気付いた。私は原書が読めない。東京創元社さん、芹澤恵さん、なんとかしていただきたい。迷えるミステリ・ファンを救い給え。
読了日:10月09日 著者:R・D・ウィングフィールド

読書メーター