佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『冷蔵庫を抱きしめて』(荻原浩・著/新潮文庫)

『冷蔵庫を抱きしめて』(荻原浩・著/新潮文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

あっちもこっちも不完全。そんなあなたが愛おしい。傷んだ心に効く8つのエール!短編の名手の本領発揮!幸せなはずの新婚生活で摂食障害がぶり返した。原因不明の病に、たった一人で向き合う直子を照らすのは(表題作)。DV男から幼い娘を守るため、平凡な母親がボクサーに。生きる力湧き上る大人のスポ根小説(「ヒット・アンド・アウェイ」)。短編小説の名手が、ありふれた日常に訪れる奇跡のような一瞬を描く。名付けようのない苦しみを抱えた現代人の心を解き放つ、花も実もある8つのエール。

 

冷蔵庫を抱きしめて (新潮文庫)

冷蔵庫を抱きしめて (新潮文庫)

 

 

 決して正常とはいえないが、病気と言っていいかどうか微妙なところで踏みとどまり苦闘している8人の心象風景を描いた作品。正直なところ、こういう傾向の作品は私好みではない。しかし、だからといって読まないわけでもない。いやむしろ読み始めてしまえば途中でやめることはできない。つまりは私も心の中に「ビョーキ」を抱えているのだろう。負けてはだめだ、落ちてはいけないと自分を叱咤激励しながらなんとか踏みとどまっている。一見健康で闊達に見える人もそんな危うさの中で生きている。人間とはそうしたものだ。