佐々陽太朗の日記

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『ロマンチックSF傑作選 (集英社文庫 コバルトシリーズ 23-A)』(豊田有恒・編/集英社文庫)

『ロマンチックSF傑作選 (集英社文庫 コバルトシリーズ 23-A)』(豊田有恒・編/集英社文庫)を読みました。

 

ロマンチックSF傑作選 (集英社文庫 コバルトシリーズ 23A)

ロマンチックSF傑作選 (集英社文庫 コバルトシリーズ 23A)

 

 

 国内作家のロマンチックSFを豊田有恒氏が編纂したアンソロジー。

 堺を旅していたときに町家ギャラリーで見つけた古書。こうしたタイトルの本は私の大好物であって、見つけたら即購入。300円であった。収録された11編は次のとおり。

  1. 「人魚姫の昇天」小松左京
  2. 「死を蒔く女」平井和正
  3. 世界樹の高みに」田中光二
  4. 「レモンのような二人」筒井康隆
  5. 「ラブレター作戦」高倉正
  6. 「燻煙肉(ハム)のなかの鉄」山田正紀
  7. 「青白い月」眉村卓
  8. 「スネーク」荒巻義雄
  9. 「巨鳥モア」河野典生
  10. 「帰還者」豊田有恒
  11. 「キューピッド」星新一

「死を蒔く女」「ラブレター作戦」「燻煙肉(ハム)のなかの鉄」「帰還者」「キューピッド」が良い。中でも「燻煙肉(ハム)のなかの鉄」は秀逸。男女のロマンスを小説のテーマに据えたとして、このような愛のかたちをイメージする人は希有だろう。すごくカッコイイ小説だ。才能を感じる。

 総評として期待に対して100点満点中40点かな。期待度が高すぎたところはある。しかし、たとえば『時の娘 ロマンチック時間SF傑作選』(創元SF文庫)や『時を生きる種族 ファンタスティック時間SF傑作選』(ロバート・F・ヤングフリッツ・ライバー 他:著/創元SF文庫)、『ジェニーの肖像 』(ロバート・ネイサン:著/創元推理文庫) などに比べるとやはりロマンチック度が足りない。日本人はシャイなので敢えて甘い小説は書かないのかもしれない。もちろん日本のSFの中にも『美亜へ贈る真珠―梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇』(ハヤカワ文庫JA)や『ライオンハート』(恩田陸・著/新潮文庫)など素晴らしいものがある。

 

 

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)

 

 

 

 

 

ジェニーの肖像 (創元推理文庫)

ジェニーの肖像 (創元推理文庫)

 

 

 

美亜へ贈る真珠 〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

美亜へ贈る真珠 〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 

ライオンハート (新潮文庫)

ライオンハート (新潮文庫)