佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

ぶらり居酒屋めぐり旅(松江 その1)

 久しぶりに松江で飲みたい。思い立ったが吉日。金曜日の午後からの日程を空けて、「新幹線」→「やくも」を乗り継ぎ松江に到着。

「やくも」に乗ると車両の仕立てや窓の景色が昭和を思い起こさせる。好きな列車です。

 松江に着き、ホテルにチェックインするなりすぐに街にくり出した。目指すは新大橋のたもと「やまいち」だ。夕方4時半からやっている。

 今日は暑かった。カウンターの真ん中あたりに腰掛け、まずは生ビールを一気に飲み干した。目の前の「おでん」から大根、厚揚げ、糸蒟蒻を注文。しみじみうまい。となりの席のお父さんは「トビウオの子」を肴に焼酎を飲んでいる。「トビウオの子」を一皿食べ終えるとおかわりを注文した。美味いらしい。ならばと私も注文する。鯛の子などに比べて細長いところが愛しいではないか。けっこうねっとり濃厚な味である。愛いヤツじゃ。酒を頼む。冷酒「豊の秋 純米酒 初代辛口」。しっかりした味がキリッとキレる。こりゃ刺身が欲しくなるな。大将に造りを見繕ってもらった。カンパチ、ヒラメ、イカ、アジ。うまい。どんどん酒がすすみ、腰を据えたくなったが、宍道湖の夕日も観たい。また明日来るよと心の中で呟いて店を出た。

 大橋川沿いに降っていくと宍道湖に出る。島根県立美術館では「エヴァンゲリオン展」が開催されている。よしっ、明日来るぞ。何年か前に来たときは「芹沢銈介展」だったな。風呂敷を買った。この美術館は私のお気に入りだ。

 宍道湖のほとりに腰掛けて夕暮れの風景を楽しむ。そよ風と波の音が心地よい。残念ながらお日様は薄曇りの中にお隠れあそばした。それでもあかねに染まった空は美しかった。

 すっかり暗くなるまでぼんやりと過ごした。酒も幾分さめてきた。さて、もう一軒行こう。

やまいち」に向かう途中に目を付けていた店。覗いてみるとカウンターが五席。満席であった。予約が必要だったな。残念。

 それではと「じげのまいもん」を食べるべく「らくらく」の暖簾をくぐった。気どらない店だ。「じげのまいもん」のチョイスは「赤てん」と「宍道湖もろげえび」。酒は「山丹正宗 純米吟醸 無濾過」。「赤てん」は魚のすり身の天ぷら。ピリッと唐辛子が効いている。塩味の効いた「もろげえび」にはビールが欲しい。生ビールをぐいっとやった。〆に「しじみ汁」。

 〆といっても、これでホテルに帰ったりはしない。ほんとうの〆は大橋川のほとりにある「中村BAR」でと再び新大橋を北に渡る。

 まずはカクテル「神風」を作っていただく。強く潔いカクテルだ。

 続いて、アイラを。ノンピートスタイルのアイラ「ブルイックラディ ベアバーレイ 2008」。先日、美ヶ原温泉の「すぎもと」で花岡さんに教えていただいたウヰスキーだ。レーズンによく合う。夜が更けるまで、カウンターで酒を飲みながら本を読む幸せ。本は藤沢周平『闇の歯車』。ミスマッチかと思いきや、書き出しはこうだ。

 暑い夜だった。そして夜は始まったばかりだった。

こいつぁーハードボイルドだぜっ!