『恋する日本語』(小山薫堂・著/ソリマチアキラ・絵/幻冬舎文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
「あえか」「紐帯」「那由他」「玉響」…耳にしたことはあるけれど、意味がよくわからない日本語。たとえば、「赤心」とは「偽りのない心」のこと。「一曲」とは「ちょっとすねる」こと。言葉の意味をひもといてみると、そこには恋人たちの何気ない日常の瞬間が溢れている。日本語の美しい響きと甘く切ない恋心が堪能できる35のショートストーリー。
本書にでてくる言葉は「あえか」「涵養 かんよう」「紐帯 ちゅうたい」「気宇 きう」「転た うたた」「相生 あいおい」「如意 にょい」「赤心 せきしん」「浹洽 しょうこう」「玉響 たまゆら」「泥む なずむ」「僥倖 ぎょうこう」「偶さか たまさか」「那由他 なゆた」「夕轟 ゆうとどろき」「終夜 よすがら」「一典 ひとくねり」「時雨心地 しぐれごこち」「恋水 こいみず」「焰 ほむら」「恋風 こいかぜ」「刹那 せつな」「客愁 かくしゅう」「洒洒落落 しゃしゃらくらく」「忘れ種 わすれぐさ」「滝枕 たきまくら」「喃喃 なんなん」「心掟 こころおきて」「番い つがい」「邂逅 かいこう」「阿伽陀 あかだ」「揺蕩う たゆたう」「垂り雪 しずりゆき」「帰趨 きすう」「遠近 おちこち」の35の言葉。
よく意味を知らない言葉や初めて出会った言葉もある。あえてフリガナをふったが読めないものもいくつかあった。情けないことである。
「浹洽 しょうこう」など私の愛辞書「新解さん」にもでてこない。大辞林には
①広く全体にゆきわたること。 「衷情未だ-せざればなり/明六雑誌 1」
②心がうちとけること。すっかりなれること。
とある。なるほど。
私にも好きでよく使う言葉がある。「忠恕」「矜持」「僥倖」などがそれだ。「僥倖」は本書にも出てくる。小山氏のようにこれが「恋をするために生まれた言語なのだ」と感じる感性は私にはない。私の好きな言葉はなにやら硬い。無粋だともいえる。どうやら私が女性にもてないのはこうしたところが災いしているようだ。情けないことである。