まずは出版社の紹介文を引きます。
真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。いつかは帰れるの?それともこのまま…だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。
作者がある意図を持ってのことではあるけれど、二人称の語り口が鬱陶しいと感じた前半。おそらくこの前半を乗り切れず本を投げ出す読者も多いに違いない。後半に入るとぐんぐん物語に引き込まれ一気に読める。
主人公に子どもの頃から聞こえていた「声」は結局だれのものか。主人公が心の中で造り出したものか、あるいは泉さんなのか。どう解釈するかは読者次第であり、その解釈次第で味わいが違ってくるだろう。
時間ループ型のタイムリープもの。そこに恋がからむところが私好みである。