佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

おでん赤玉本店

2018/10/07

 今日は金沢に来た。夜に名居酒屋と噂に聞く「猩猩」を予約している。

 前泊が東京だったので北陸新幹線「かがやき507」に乗って昼ごろ金沢に着いた。北陸新幹線に乗るのは初めてである。いつもはサンダーバードなので、車窓の景色が新鮮だった。残念ながら富士山は雲をかぶっていた。立山連峰は本に夢中になっており見逃した。次の機会に譲るしかあるまい。

 昼ごろ金沢駅に到着。駅近くのホテルに荷物を預け、さっそく町に繰り出した。鞍月用水に沿って2㎞も歩けば繁華街、片町・香林坊界隈に出る。他の町なら2㎞の距離を歩くのは苦痛だが、金沢の町並みには古いものが残っており、30分の散歩も楽しい。

 散歩して腹も減った。どこかで昼飯、いや昼酒をとGoogleマップにつけている★印を次々クリックしてみる。私がつけている★印はこの町にもたくさんあるが、基本的に居酒屋なので夕方からしか開いていないところが多い。しかしそれでも見つけたのが「おでん赤玉本店」。昼は12:00~15:00、夜は16:00~23:30まで開いている。よし、ここだ。金沢と言えばおでんだ。(松江でもそんなことを書いたような気がするが・・・) 酒におでん、文句なしの相性だ。

 店に入ると混んでいる。おねえさんが二人、忙しく動いている。客の注文への応対で忙しいのだろう。愛想は良くない。しかし私はおねえさんの愛想目当てで入ったわけではない。とりあえずおいしいおでんと酒が供されれば文句はないのだ。カウンターに一つ空いている席に両脇のお客さんに「ごめんなさいよ」と言いながら陣取る。嵌張ずっぽりというやつである。はやりの店で一席のみ空いているところに滑り込む快感は、麻雀の嵌張待ちをツモった時の快感に似ている。

 眉間にしわが寄るほど忙しそうに動いているおねえさんの様子をじっと観察しながら、今ならという瞬間を見つけ注文する。こういう店での注文は要領よく簡潔にするのが要諦。メニューを見て迷いながらまどろっこしいのはダメである。それではおねえさんの眉間に深いしわが刻まれてしまうのだ。「酒は宗玄を一合、冷やでね。おでんは車麩、しのだ巻き、かにしんじょう、大根。以上」。わずか10秒の早業である。金沢でおでんといえば車麩、かにしんじょうだ。あっ、しまった。赤玉を注文し損ねた。まあいい。また冬に来るのだ。そのときに食べれば良い。

 うーん、うまかった。もう少し呑むかとおねえさんに「牛すじとお酒、加賀鳶をください」と注文。牛すじ煮込みは店の実力が出る。この店なら間違いあるまいと思ったが、予想を超える出来であった。うまい。しっかり煮込みらしいコクがあるのだが、けっしてしつこさを感じない。正解であった。

 お勘定は2,860円。満足度大。お腹も満たされ、ほろ酔い気分で町に繰り出す。さて、鈴木大拙先生に会いに行くとしよう。