佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『しあわせのパン』[DVD]

 映画『しあわせのパン』[DVD]を観ました。

【ストーリー】
東京から北海道の月浦に移り住み、湖が見渡せる丘の上でパンカフェ「マーニ」を始めた夫婦、りえさんと水縞くん。
水縞くんがパンを焼き、りえさんがそれに合うコーヒーを淹れ、料理をつくる。そこには、日々いろんなお客さまがやってくる。
北海道から出られない青年トキオ、なんでも聞こえてしまう地獄耳の硝子作家ヨーコ、口をきかない少女未久とパパ、革の大きなトランクを抱えた山高帽の阿部さん、沖縄旅行をすっぽかされた傷心のカオリ、観察好きの羊のゾーヴァ
そして、想い出の地に再びやってきた老人とその妻。
それぞれの季節にさまざまな想いを抱いて店を訪れた彼らが見つけた、心の中の“しあわせ"とは?
そして彼らを見守るりえさんと水縞くんに訪れることとは?

【キャスト】
原田知世
大泉洋
森カンナ
平岡祐太
光石研
八木優希
中村嘉葎雄
渡辺美佐子
大橋のぞみ(声の出演)
あがた森魚
余貴美子

【スタッフ】
監督・脚本:三島有紀子
音楽:安川午朗
主題歌:「ひとつだけ」矢野顕子with 忌野清志郎(ヤマハミュージック)
企画:鈴井亜由美/プロデュース:森谷雄
撮影:瀬川龍
照明:原由巳
録音:小宮元
美術:井上静香
衣装:宮本まさ江/スタイリスト:大森仔佑子
フードスタイリスト:石森いづみ
編集:加藤ひとみ

 

 

しあわせのパン [DVD]

しあわせのパン [DVD]

 

 

 賛否両論あるだろう。この世界観を好きな人はたまらなく好き。嫌いな人は「気持ち悪い」とすら感じるだろう。評価の分かれ目はひと言でいうと嘘っぽさ。フィクションだからウソっぽいのは当たり前。しかし、都会の人間が憧れる田舎暮らしの幸せのかたちがオシャレな映像を通してふんだんに出てくる。焼きたてのパンや温かいポトフ、おいしいワイン、そしてコーヒー。一画面がまるで女性誌のページを捲るようです。制作者の「ねっ! オシャレでしょ? ねっ、ねっ!」という声が聞こえてきそうで、なんともいえず気持ち悪いといえば気持ち悪い。でも、切り取られた北海道洞爺町の景色はホンモノです。美しい。ほんとに美しい。来年こそは北海道を自転車で走り、あの景色を存分に味わいたいものだ。

 ちなみに私は賛否両論のどちらかといえば、どちらでもない。この世界を無邪気にステキだといってしまうほど単純ではない。かといって、たとえウソであっても心温まる物語は大好きだし、非現実的であっても、吉田篤弘氏の小説を読むようなある種の”優しさ”は心地よい。好きでもあり嫌いでもあるといったところ。

 そして最後まで観て映画のオチ(水縞くんのたった一つの願い)の正体が分かる。見え見えであっただけに、やっぱりそうかという思いであった。最後に主題歌が流れるのだが、矢野顕子の声が私には鼻につく。でもね、忌野清志郎がそれに絡むと俄然良くなるのです。久しぶりに清志郎さんの声が聴けて良かった良かった。