佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2018年12月の読書メーター

12月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1960
ナイス数:937

 

 最近、読書ペースが落ちている。来年は元のペースに戻さねばなるまい。本棚の積読本がますます増えつつある。

 森見登美彦の『熱帯』が上梓された。うれしい。『乙嫁語り』の新刊が出た。これまたうれしい。あとは『よつばと!』の新刊を待望している。あずまさんよろしく。


殺したい蕎麦屋殺したい蕎麦屋感想
表題となった「殺したい蕎麦屋」は青山のある有名な蕎麦屋のこと。店内にビバルディが流れており、一番安い「せいろ蕎麦」が1,260円という店である。いちいち手書きされてメニューにはかなり「相田みつを」が入っているという。わかります。私だってそこまで読んだだけで軽く殺意を抱きます。「蕎麦ごときを気取って食えるか、こらぁっ!」と一万円札をテーブルにたたきつけて椅子をケトばして店を出てやろうと思いますよ、きっと。思うだけで、きっちり釣り銭をもらいますけれど。
読了日:12月30日 著者:椎名 誠


熱帯熱帯感想
千一夜物語』と同様に、物語の中に物語があり、物語の登場人物が別の物語を語るという、いわば物語のマトリョーシカがこの小説のかたちである。本書において、魔王は僕に「この門をくぐることを決めたのは君自身なのだよ」と語る。それは登美彦氏が自分自身に言い聞かせる言葉のように思える。いかに苦しくとも小説を書こうとする覚悟というより、たとえ苦しくともそうするしかないのだと自分に言い聞かせ納得させようとするかのようである。本書は直木賞を受賞するに違いない。2018年もあと数日を残すのみとなった今、私はそう断言する。
読了日:12月29日 著者:森見 登美彦


乙嫁語り 11巻 (ハルタコミックス)乙嫁語り 11巻 (ハルタコミックス)感想
タラスの一途な気持ち。けなげで美しいことといったら・・・  もう何も言うまい。  ただ、二人の前途に幸あれと願う。
読了日:12月22日 著者:森 薫

 


ある日どこかで (創元推理文庫)ある日どこかで (創元推理文庫)感想
期待に違わぬ美しい恋物語。主人公リチャードの想いが通じて叶ったエリーズとの逢瀬。その刹那の甘美な幸福感と想いとは裏腹に再び元の時代に引き戻された哀しみ。その余韻がたまらなく切ない。リチャードが一枚のポートレイトを見てエリーズに一目惚れしてしまってから、想いが通じでタイムトラベルが叶いエリーズに出会うまでが冗長だっただけに、出会ってからの感情の起伏が際立つ。もうこうなると、イライラさせられた物語の序盤も、ひたすら自己暗示をかけて念じ続けることでタイムトラベルするという強引な展開もどうでも良くなり、一気読み。
読了日:12月22日 著者:リチャード マシスン


旅する本の雑誌旅する本の雑誌感想
本書を読みながら、行きたい書店やレストラン、カフェをGoogleマップで検索し☆印をつける。ロードバイクで巡るとするとどんなコースにしようかと思索する。京都の「三月書房」「誠光社」「恵分社一乗寺店」「ホホホ座」や松本の「想雲堂」など本書に紹介された店のなかには既に私のお気に入りの書店もある。そうした記述に出会うと同好の士がここにいたとニヤリとしながら肯く。
読了日:12月08日 著者: 


海近(うみちか)旅館海近(うみちか)旅館感想
日本の個人経営の旅館が抱えている問題に焦点を当て、旅館の本来あるべき姿は何かを考えさせられた。。大手資本がその資本力と一般ウケするノウハウを武器に跳梁跋扈している現状を憂えるのは柏井氏だけではないだろう。旅の楽しみ方は人それぞれ、好みもいろいろ、好きに楽しめば良い。しかし、できればそこに見せかけではないホンモノを楽しめる中身が欲しい。旅館にせよ、食事にせよ、けっして贅沢でなくても見せかけでない真心のこもったサービスがあって欲しいものだ。その意味でこの物語は各地を旅して回ることを楽しみとする私の腑に落ちた。
読了日:12月06日 著者:柏井 壽

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