佐々陽太朗の日記

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『落語小説集 芝浜』(山本一力・著/小学館文庫)

『落語小説集 芝浜』(山本一力・著/小学館文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

古典落語の人気演目を本邦初のノベライズ

直木賞作家で時代小説の第一人者が、「落語の人情世界」を小説化。
夫婦の愛情を温かく描いて、屈指の人情噺として名高い「芝浜」のほか、登場人物がすべて実直な善人で、明るい人情噺として人気の「井戸の茶碗」、船場の商家を舞台にした大ネタ「百年目」、一文無しの絵描きが宿代の代わりに描いた絵から意外な展開となる「抜け雀」、江戸末期の名脇役だった三世仲蔵の自伝的随筆をもとに作られた「中村仲蔵」を収録。
落語ファンからも人気の高い演目を、細部を丁寧に描き込み、ときに独創を加え、ときに人生訓を交え、見事に調理してみせます。
高座芸である落語を小説という形で表現する、新しい試み。
聴いてから読むか、読んでから聴くか。
元ネタを知る人も知らない人も楽しめる、落語小説集です。

【編集担当からのおすすめ情報】
ありそうでなかった、落語のノベライズが登場です!
下町を舞台にした人情もので勇気と安らぎを与えてくれる第一人者が、「古典落語の人情世界」に挑みました。
身振り手振りがない活字の世界で、落語の新たな魅力を紡ぎ出します。
本書を読んで、逆に、落語の面白さにひかれる読者も多いはずです。

 

落語小説集 芝浜 (小学館文庫)

落語小説集 芝浜 (小学館文庫)

 

 

 大方のあらすじを知ってはいても、思わず引き込まれます。山本一力氏によって選ばれた演目はどれも味わいの深い噺です。人としての矜持、人の心を思いやる気持ち、要は人としての品格を題材にしたものばかり。元々良くできた噺であるうえに、山本氏の筆で細部が描かれ、伏線が張られたうえ、噺がふくらまされるだけに、読んでいて落語を聴く以上に気持ちが高ぶります。「芝浜」では思わず泣いてしまいました。さすがは一力先生です。