佐々陽太朗の日記

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『夜哭烏(よなきがらす) 羽州ぼろ鳶組Ⅱ』(今村翔吾・著/祥伝社文庫)

『夜哭烏(よなきがらす) 羽州ぼろ鳶組Ⅱ』(今村翔吾・著/祥伝社文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

八咫烏」の異名を取り、江戸一番の火消加賀鳶を率いる大音勘九郎を非道な罠が襲う。身内を攫い、出動を妨害、被害の拡大を狙う何者かに標的にされたのだ。家族を諦めようとする勘九郎に対し、「火喰鳥」松永源吾率いる羽州「ぼろ鳶」組は、大音一家を救い、卑劣な敵を止めるため、果敢に出張るが……。業火を前に命を張った男たちの団結。手に汗握る傑作時代小説。

 

夜哭烏 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

夜哭烏 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

 

 

 人の心と心は意想外の化学反応を起こし、引き起こされたエネルギーは甚だしく強く尽きることは無い。ここに描かれたのは火消の心意気と矜持の物語。そして親と子、夫と妻、師弟そして友のお互いを思いやる人情の物語だ。読み始めたが最後、頁をめくる手を止めることはできない。一気にクライマックスまで読み進め、昂奮し感激し涙した。今村翔吾氏は確かに鉱脈を掘り当てたと言ってよい。こいつぁ、掛け値無しにおもしろい時代小説だ。