佐々陽太朗の日記

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『羽州ぼろ鳶組Ⅴ 菩薩花』(今村翔吾・著/祥伝社文庫)

羽州ぼろ鳶組Ⅴ 菩薩花』(今村翔吾・著/祥伝社文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

「大物喰いだ」追い詰められた男の起死回生の一手。諦めの悪い火消が炙り出した、不審な付け火と人攫いの真相とは?

  番付のためか―。火消番付への関心は高く、お家の評判にも繋がる。その噂が人々の口に上りだす頃、ぼろ鳶組松永源吾は、無謀にも他の火消から手柄を奪おうと闘う仁正寺藩火消柊与市の姿を目にする。そんな折、火消による付け火を疑う読売書きが姿を消し…。真相を追う源吾らの前に現れたのは、火難の遺児を救い育て、「菩薩」と崇められる定火消進藤内記だった。

 

菩薩花 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

菩薩花 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

 

 

 前巻で「魁」の異名を持つ武蔵と六代目平井利兵衛・水穂に恋愛フラグが立ったかと思ったのだが、今巻では水穂は登場せず。私の勘違いだったのかもしれない。いや、忘れた頃に満を持して出てくるに違いない。期待して待ちたい。銕三郎改め長谷川平蔵宣以(鬼平)はここぞというときに登場。やはり千両役者だ。

 今巻で光ったのは麒麟児と称される新庄藩火消の頭取並・鳥越新之助一刀流が冴え渡る。前巻でほとんど出番がなかっただけに、今巻での活躍はめざましくまぶしいほどだ。ただ番付には殆ど影響しなかった。作者は新之助をこのような形でいじってかわいがっていると見える。それは深雪のいじり方と同じだ。存分にかわいがっている。(笑)

 本シリーズは「ぼろ鳶組」であるが、深雪シリーズの様相を呈してきた。おそらく男女に共通して支持されるキャラだろう。深雪が登場する場面を楽しみに読み進める読者も多いに違いない。