佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『深川駕籠』(山本一力・著/祥伝社文庫)

『深川駕籠』(山本一力・著/祥伝社文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

深川の駕籠舁き・新太郎は、飛脚、鳶といった男たち三人と足の速さを競うことになった。いずれ劣らぬ早駆けの達人である。しかも、深川から高輪への往復のうち帰りの大川は泳いで渡らなければならない。江戸の町は大いに盛り上がり、勝ち札が売りに出された。新太郎は相肩尚平の秘策を胸に師走の町を走る。しかし、道中、同心の大野が卑劣な罠を仕掛けていた…。

深川駕籠 (祥伝社文庫)

深川駕籠 (祥伝社文庫)

 

 男、それもひとかどの男であることは難しい。彼の漱石も言っている。智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。意地、見栄、いやそんなものじゃない。己の胸に手を当てて納得できるかどうか、誰に対しても胸を張れるか、それを己に矜持にかけて問うて一点の曇りもない。窮屈な生き方かもしれない。だがそんな男がカッコイイ。